8.8 C
Tokyo
5.3 C
Osaka
2025 / 11 / 30 日曜日
ログイン
English
産学官連携〈食の産学官連携⑩〉ソルガム地域循環モデルを構築 高圧加工米で新市場開拓も 信州大学
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

〈食の産学官連携⑩〉ソルガム地域循環モデルを構築 高圧加工米で新市場開拓も 信州大学

農業・食料・エネルギーの地域循環モデル(資料:信州大学工学部提供)
農業・食料・エネルギーの地域循環モデル(資料:信州大学工学部提供)

長野県は中山間地が多く、高齢化・人口減少により荒廃農地率は全国平均の約2倍。農業生産性の向上や高付加価値食品の創出による食・農産業の競争力強化は喫緊の課題となっている。こうした社会課題の解決を図り、信州大学工学部が中心となり「食・農産業の先端学際研究プラットフォーム(PF)」が2016年に発足。産学官・農商工連携による「信州そるがむ」の活動を通じ持続可能な「農業・食料・エネルギーの地域循環モデル」の構築を目指している。

ソルガムはアフリカ原産で「世界五大穀物」の一つとされる。日本での知名度は低いが、アレルギー物質を含まず、ポリフェノールやGABA、食物繊維など栄養価が高い。健康食品のほか、小麦粉の代用として様々な料理・菓子作りなどで活用が期待される。

PFプロデューサーの國井久美子氏(信州大学准教授)は「ソルガムは高温・乾燥に強く、水やりや除草など手間がかからないことから省力栽培が可能」としており、ソルガム栽培の普及を通じて耕作放棄地の解消を狙う。

また、ソルガムの茎葉は、えのきだけなど長野県が出荷全国1位のキノコの培地として活用できる。使用後の培地はメタン発酵により電気・熱エネルギーとなるほか、発酵残渣(消化液)は有機肥料として畑に投入される。

工学部の天野良彦教授(「信州そるがむで地域を元気にする会」理事長)は「地域が元気でなければ日本の未来はない。ソルガムを活用することで、食料やエネルギーなど地域で生産して地域で使う循環型社会のモデル構築を実現したい」と意欲をのぞかせる。

一方、農学部の藤田智之教授は2015年から5年に及ぶ産学連携プロジェクトで機能性富化米「高圧加工米」を共同開発。新たなコメ市場の開拓を図っている。

玄米や籾を、高圧処理機械(東洋高圧「まるごとエキス」)の中で加水・加温・加圧処理することにより、玄米の糠層の豊富な栄養・機能性成分を白米部分に移行できる。「高圧加工米は、ポリフェノール類やビタミンB群など栄養成分が豊富で、ヒト試験においても血糖値の改善や慢性炎症抑制効果が認められた」(藤田教授)としており、機能性表示食品(無洗米・パックご飯など)として市場開拓が期待される。

高圧処理機械の活用はコメだけにとどまらない。100MPa(1,000気圧=深海1万mの水圧に相当)の圧力処理で、細菌抑制や熟成化、エキス化など食品の新たな価値創造が可能となる。ただ、高圧処理はバッチ式生産であり生産性の面で課題も多い。

藤田教授は「プロジェクト終了後も、高圧処理技術を活用した商品の共同研究は続いている。今後出口となる商品開発がさらに進めば、生産性の問題もクリアされ事業として一つの形になるのでは」と抱負を述べた。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点