通販食品展示商談会㊦ 全国から多数の団体出展も バイヤー来場が出展の引き金に

昔ながらの米と大麦だけで作った「松波米飴」を販売している横井商店(石川県鳳珠郡能登町)。天然甘味「松波米飴」は、米を鉄窯で蒸して、大麦を発芽させた麦芽で糖化し、糖化したものを搾り、汁を炊き詰めて作る。スプーンですくえる程の固さの「じろ飴」から、ノミでも割れないほど固い「固飴」まである。手加減、水加減が微妙で、手間暇かけて作るため、あまり市場には出回らなかったが、最近は懐かしい味わいとして見直されている。4代目の松波千四吉氏が家業を引継ぎ、通販や道の駅などで販売している。

北前船のカワモト(福井県敦賀市)。北前船は江戸時代から明治にかけて日本海海運で活躍した買積み廻船のこと。福井の名産品の製造・販売を通して福井の美味しいものを全国に届けており、最近はバリエーション豊富なふりかけに力を入れている。売れ筋の「ひじきごはん」シリーズは食欲をそそり、手軽においしく栄養補給もできる。「自社通販も展開しているが、通販食品展示商談会に出展してお客さんの反応を見たかった」。

北海大和(北海道札幌市)は、北海道の素材、原材料にこだわり、スープやふりかけ、お茶漬け、レトルト食品などを販売している。スープの扱いが中心で、一番の売れ筋は「アスパラスープ」で、ギフト商品も人気。北海道産アスパラガスを独自製法により超微細粉末に加工し、グリーンアスパラの味と風味を生かした。自社工場で製造し、販売チャネルはデパートやスーパーが主体。2年後には新工場の建設を計画している。

スリランカ料理アルッガマゲ(長野県上伊那郡)は、スリランカの五つ星ホテルのシェフを招へいしてレシピ開発したカレーを販売している。独特の風味とスパイスが特徴で、多種多様なスパイスを独自のバランスでブレンドし、インドやネパールのカレーとは一味違った深いコクと香りを引き出している。胃腸に優しく、食後に「整う」新感覚が味わえる。健康カレーとして自社ECで販売しており、今後は通販を通して販路を拡大したい考え。

横井商店の「松波米飴」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
横井商店の「松波米飴」

石川酒造場(沖縄県西原町)の「美らBio(チュラビオ)」は、泡盛蒸留粕を乳酸菌で発酵させた新素材「チュラビオ」をおいしく仕上げた乳酸菌飲料。黒麹菌、酵母菌、乳酸菌の発酵に由来する様々な栄養素を含有。現在はネットショップが中心だが今後は新たな商流を検討している。

通販食品展示商談会には団体出展も多く、静岡県産業振興財団、和歌山県中小企業団体中央会、大分県産業創造機構、豊田市役所、東広島商工会議所、長野県物産振興協会、滋賀県漁業協同組合連合会などが思い思いに地元物産をアピール。

静岡県産業振興財団は県を代表する12企業が出展。出展希望社が多かったため、「審査員が5点満点で審査し、上位12社を選んだ」(小柳津晴光氏)。「年々上向いている通販市場に向けて、企業はあの手この手を使って何とか参入したいという思いがあるが、なかなかバイヤーに巡り合えない。バイヤーが来場する通販食品展示商談会は成約につながる可能性が高く、費用対効果も高い」とし、多くの企業が成約につなげた。

温暖な気候で知られる静岡は、富士山とみかんが有名だが、日研フード(静岡県袋井市)は、従来破棄される未熟な温州みかんを使った「青みかんドリンク」を展示。花粉やほこり、ハウスダストなどによる鼻の不快感の軽減に役立つことから、今年4月に機能性表示食品として受理された。

和歌山県中小企業団体中央会の一員として出展した丸長水産・マルチョウフーズ(和歌山県田辺市)は、ギフト用高級梅干から求めやすい量販向け商品まで幅広く梅製品を品揃えしている。「種ぬきほし梅」は南高梅の種を取り除き、乾燥させて個包装しているため、ドライフルーツ感覚で楽しめる。