昭和産業の塚越英行社長は、最終年度を迎えた「中期経営計画23-25」の目標達成に向けて、輸出事業の拡大や新規事業への挑戦など「事業領域の拡大」に意欲を示した。
海外戦略では、好調な輸出事業の拡大を図るとともに、今期中にベトナムで100%独資によるミックス新工場の稼働を予定しており、ASEAN地域での事業展開を広げる。
世界的な日本食ブームを背景に、天ぷら粉や小麦粉など同社製品の輸出が好調に推移。輸出事業の専門部署を新設し、これまで各部に分散していた営業窓口を一本化したことで海外顧客との接点が広がり、「天ぷら粉などの和食メニューだけでなくアジアでは日本品質が評価され、パン用小麦粉やマカロニの出荷が増えている」(塚越社長)。25年度の輸出金額は22年比で約40%増を目指し、さらなる提案強化を進める。
新規事業への挑戦では、東北大学発のスタートアップ企業ファイトケミカルプロダクツと資本業務提携を締結。現在ファイトケミカル社は量産化技術の確立に向けた新プラント建設を進めており、スーパービタミンEや植物ステロールなどの副産物を活用したファインケミカル事業の展開を見据える。
オレオケミカル分野でも同社との連携を進めるほか、ボーソー油脂が千葉県匝瑳市の脱炭素化推進プロジェクトに参画。コメ油由来の脂肪酸を活用したバイオ燃料を通じて、循環型社会の実現に貢献するなど、穀物の新たな可能性を広げる。
そのほか、飼料用原料や製造工程で発生する廃棄物を活用し、オープンイノベーションによるアップサイクルの取り組みを推進。多種多量な穀物を取り扱う昭和産業グループの強みを生かしたCSV実現を目指す。
塚越英行社長は2026年の創立90周年、その先の100周年を見据え、「穀物のプロ集団として唯一無二のビジネスモデルを確立し、さらなる成長実現を目指す」と意気込みを示した。
