日本うま味調味料協会は21日、川崎市川崎区の味の素グループうま味体験館で「うま味調味料活用!郷土料理コンテスト2024年」の表彰式を行った。コンテストはうま味調味料を使い、減塩しながら、郷土料理の歴史や文化を継承してゆこうと、同協会が2016年から実施している。今回は管理栄養士や調理師、一般家族などから合計109件ものエントリーあった。審査会は既に行われ、日本栄養士会の中村丁次代表理事会長を審査委員長として審査した結果、青森県「青森県三戸郡レディ―ブロッサム」の作品メニュー「ひっつみ汁」が優勝した。
開催に先立ち倉島薫会長は「世界中でサステナビリティが重要視され、地域環境や文化に育まれながら受け継がれてきた郷土料理は、環境と同時に体にも優しい料理だ。だが塩分が多いことが課題であり、うま味調味料を活用し、おいしく減塩することで環境にも体にも優しい郷土料理を啓発してゆく」と挨拶した。
優勝した青森県 「青森県三戸郡 ひっつみ汁」(チーム名はレディ―ブロッサム、社会福祉法人秀峰会特別養護老人ホームさくら苑)は、小麦粉など使い、子供から年配者まで一緒に楽しみながら作れる郷土料理。老人施設の利用者(加藤さん、93歳)から、戦後の食料難にお腹いっぱい食べた思い出話を聞いたことをきっかけに、管理栄養士が文献と合わせて老人施設用にメニュー化。鰹だしを使いながら、昆布だしをうま味調味料に置き換えることで料理を簡素化し、減塩率67%に成功した。車椅子で表彰式に参加した加藤さんは、「ひっつみ汁は小さい頃、母親から教わり、今でも大好きです。つくづく郷土料理はいいものだと思っている」と感想を述べた。
準優勝は長野県コイクイーンの作品(長野県立大学調理学ゼミ)は「鯉こく」、郷土愛賞は秋田栄養短期大学田中ゼミの「サメの納豆汁」、減塩サクセス賞は広島県・福山の倹約家(九州大学経済学部)の作品「福山鯛うずみ」、アレンジ賞は石川県アラフォー専門学生 (華学園栄養専門学校)の作品「はす蒸し」。
総評の中で中村氏は「気候変動により持続可能な農業と生活が困難になりつつある。こうした変化の中で育まててきたのが郷土料理で、欧米では郷土料理こそ強靭な食事と捉えている。だが郷土料理にも減塩という大きな問題がある。減塩を活かした郷土料理が地域に広がり、地域のコミュニティが活性化されることを願う」と語った。