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世界一旨い魚を創り、届ける 独自技術で“幻の魚”を養殖へ 水産ベンチャーのさかなドリーム

来年にハイブリッド魚を高級寿司店などに出荷

「日本周辺の海には4千種以上もの魚が生息するが、一般的に養殖されているのはブリ、マダイ、ギンザケなどわずか10種類にも満たない。理由は養殖しやすい魚種しか扱っていないからだ。われわれは独自の生殖幹細胞移植技術を駆使し、希少かつおいしい魚の品種改良と養殖を推進する」と話すのはさかなドリーム共同創業者の吉崎悟朗氏(東京海洋大学教授)。25年には「カイワリ」と「真アジ」を掛け合わせたハイブリッド魚を高級寿司店などに出荷する予定だ。

同社の企業メッセージは「世界一旨い魚を創り、届ける」。石崎勇歩取締役によると、吉崎教授は世界最先端の生殖幹細胞操作技術によって魚類の生殖工学分野を牽引してきた。生殖幹細胞とは卵や精子の元となるもの。対象魚種のそれを別の魚種に移植し、育種することで、新たに高品質で養殖しやすいハイブリッド魚を開発できるという。その研究成果を社会実装するため、23年7月に水産ベンチャー「さかなドリーム」を現在の経営陣らと共同創業した。

吉崎悟朗教授
吉崎悟朗教授

「日本の養殖は多魚種戦略を」吉崎教授

吉崎教授は、日本の養殖業が目指す方向性は「日本独自の多魚種戦略」と指摘する。養殖大国のノルウェーはサーモン単一魚種に特化する国家戦略で飛躍を遂げたが、「日本は真逆の多様性で勝負するべきだ。そのためには、日本周辺の海に生息する4千種以上もの魚をもっと活用し、これまで培ってきた現場の養殖ノウハウや物流のコールドチェーンを強みとしたい。いま世界に広がりつつある和食文化とともに、おいしい養殖魚を新たに開発していけばチャンスが生まれる」と展望する。

さかなドリームは、吉崎教授の生殖幹細胞操作技術を駆使し、おいしい未利用魚の活用を増やしていくとともに、さらに育てやすいハイブリッド魚も大量生産する計画だ。

なお、先天的に確実に不妊になる組み合わせに絞って商品化し、海洋生物の遺伝的攪乱は防止する方針。希少な魚種の卵と精子は、全国に有する漁業関係者らとのネットワークを通じて入手する。

同社は来年にも「カイワリ」と「真アジ」を掛け合わせたハイブリッド魚の出荷を開始予定。おいしさを最重視して開発し、事前の試食では「高級寿司店の料理人にも高評価を得た」(同社)。市場に向けては自社でマーケティングから販売まで手掛け、ブランディングを図っていく方針。販売先は国内に加え、アメリカなど海外展開も視野に入れる。

「まずは圧倒的においしい養殖魚を開発し、付加価値の高いブランドとして確立させたい。その後、数年かけて取り扱い魚種を増やし、将来的にはマスマーケットにも展開できれば」とする。

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