三井食品・柴田社長 持続的な成長実現へ 物流力・差別化機能を磨く

三井食品の柴田幸介社長は今年度の経営テーマとして「物流力の強化」「差別化機能の強化」「業務生産性向上」の3点を挙げ、卸事業の基盤強化と機能の充実を図り、持続的な成長実現につなげていく方針を示した。

このほど開示した同社の前3月期決算は売上高6千643億円(前期比2.8%減)、経常利益5億1千万円(67.9%減)。コロナ禍でCVS、業務用の回復が遅れたことが業績に響いたが、基礎収益力の指標となる売上総利益率は前期比0.5ポイント改善。売買差益の改善や不採算取引の見直しが進み、柴田社長は「個々の商売における収益改善のめどはついてきた」と手応えを示した。

また、前期は大阪・交野に近畿統合物流センター(略称KTBC)が稼働。17年の首都圏西物流センター以来、大型投資を控えてきたが、5年間で1千億円を投じ、将来を見据えた物流IT基盤の構築に着手。「卸が生き残っていく上で、物流システム投資は避けて通れない。私どもの提供機能を充実させ、お客様のお役に立てる三井食品を目指していく」と語った。

収益面では、前期はKTBCの立ち上げや本社移転などの費用負担(18億円)もあり、経常利益5億円にとどまったが、「これら一過性の投資負担を除いた実力値は経常23億円。今期も前期並み(18億円強)の投資を予定しているが、収益力強化による5億円強の上乗せを見込み、経常利益10億円を目指す」との考えを示した。その上で、今期の経営テーマとして「物流力」「差別化機能」「業務生産性向上」の3点を挙げる。物流力の強化では、昨年9月に稼働開始したKTBC(2万5千坪)を皮切りに来期以降、大手小売業のネットスーパー専用センター(新横浜)、首都圏東物流センター(流山市、4万坪)と大型センターの開設を予定。最新のマテハン設備を導入し、汎用センターと共配センターのハイブリッド機能を備えるKTBCでのノウハウを蓄積し、物流の高度化とローコスト体制の構築を進める。

差別化機能の強化では、今期から新設した営業開発本部にマーケティング・商品開発・輸出入・アグリ・DX支援などの機能を集約。三井物産グループ各社、三井物産流通ホールディングスと連携し、オリジナル商品の開発や小売業のDX支援など、得意先の差別化につながる機能提供を強化する。

業務生産性の向上では、川上と川下をつなぐ中間流通としての生産性を高め、多岐にわたる得意先を有する三井食品の強みを生かしつつ、双方が持続的に発展できるビジネスモデルの構築を目指す。

柴田社長は「誰にもできないことができる。そして、同じモノであれば、どこよりもローコストで提供できる。この2つの機能を追求し、物流力・差別化機能・生産性を高め、体質改善と構造改革を進める」と意気込みを語った。

また、三井食品のSDGs宣言を策定し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを全社で推進。廃棄ロス削減では、物流精度向上などの取り組みにより、コロナ前の20年3月期と比較して約4割削減を2年連続で達成した。

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