酒類総合研究所は5月24日、「令和4酒造年度(BY)全国新酒鑑評会」の入賞酒を発表し、金賞受賞数で山形県が9年ぶり3回目の1位となった。前回(平成25BY)は福島県との同数で、単独の首位は19年ぶり(同15BY以来)。前年度まで9回連続1位とし、節目の10連覇がかかっていた福島県は高水準ながら5位となった。
本紙に対し、山形県酒造組合の仲野益美会長(出羽桜酒造社長)は「過去30~40年にわたり各蔵が技術を持ち寄る『研醸会』等で切磋琢磨し、県や農業関係者のバックアップで独自の酒米、酵母などの開発にも取り組んできた。今回の鑑評会では金賞20場のうち約半数が山形のオリジナル酒米『雪女神』で仕込んだもの」と喜びを語った。
酒類総研によると全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会。製造技術と品質の向上を目的に1911(明治44)年から継続的に行われている。日本酒造組合中央会との共催。なお令和元BYは決審中止のため入賞のみ選定(金賞の選定なし)。
令和4BYの出品数は818点で、うち金賞酒は218点だった。都道府県別の金賞受賞数は、1位が20場で山形県(前年6位)、2位が19場で兵庫県(同2位)、3位が16場で長野県(同5位)、4位が15場で新潟県(同4位)、5位が14場で福島県(同1位)。
例年、日本中の酒蔵が技術を結集した大吟醸・純米大吟醸などを出品している。福島県は9連覇の間、前例のない強さを見せつつも、令和2BYは長野県、平成29BYは兵庫県、同25BYは山形県と同数になるなど薄氷を踏むようにして首位を守ってきたが、遂に記録が途切れることとなった。