パン粉の生産量が減っている。コロナ禍で落ち込み、その後は徐々に回復してきたが、昨年の生産量は前年比5.3%減の15万3000tと大きく減少。コロナ禍の2020年の生産量を下回った。
その主因として挙げられるのが、コメをはじめとする物価高だ。昨年はコメが高騰したあおりを受け、コロッケが半分になったり、トンカツが鶏のから揚げに代わったりと、弁当からパン粉を使う揚げ物が減った。飲食店のメニュー単価も上昇し、客足が鈍った。
その流れは今年に入ってからも続き、9月までの累計生産量は2.8%のマイナス。減少幅は前年ほどではないが、縮小傾向が続いている。
背景にさらなる物価高があるのは明らかだ。先述の通り、昨年はトンカツからより安価な鶏肉を使うケースが増えたが、今年は鶏肉の価格も上昇しており、コンビニやファミリーレストランがチキンカツを使う企画を延期した。
スーパーの弁当も高くなり、消費者は昼食を安く抑えようとワンコインで収まるカップ麺などを手にするようになった。ディスカウントストアが価格訴求し安価な弁当を販売するが、原価を抑えるため揚げ物が外されることが多い。全国パン粉工業協同組合連合会の小澤幸市理事長は「揚げ物が景気に左右されるということを実感している」と話す。
一方で節約志向が強まり、内食回帰を期待する声もある。旭トラストフーズの金田朋宏社長は「市販用のパン粉や小麦粉は簡便志向が進むにつれ減少傾向にあったが、インフレで見直される可能性がある」とする。
高くなったとはいえ、精肉売場で豚肉を買って家で揚げた方が、惣菜売場でトンカツを購入するよりも安くつく。ただ、単身や共働き世帯が増えている昨今、手間を考慮すれば出来合いを買った方が良いと考える消費者が多いのも事実。メーカーはSNSを活用したレシピ提案に力を入れ、新たな可能性を探っている。
(11月4日付本紙に「パン粉特集」)
