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加工食品チルドシマダヤ 岡田賢二社長 “笑顔”を届ける企業へ 社員と自立型組織目指す

シマダヤ 岡田賢二社長 “笑顔”を届ける企業へ 社員と自立型組織目指す

「当社の経営コンセプト『おいしい笑顔をお届けします』を追求しながら、持続的成長を実現できるかが私自身の責務」と話すのは4月1日付で5代目社長に就任した岡田賢二氏。本社のみならず全国の事業所および工場を訪れ従業員と対話を重ねる日々だが、「シマダヤのミッションのキーワードは“笑顔”であることを伝えている。これまで営業、マーケティング、生産物流などを担当し、一番うれしかったのはお客様においしいと喜んでいただけたり、お褒めの言葉をいただけたりしたことだ。従業員にも同じような経験を通じて成長して欲しい」と力を込める。

  ◇  ◇

約17年にわたりトップを務めた木下紀夫会長からバトンを引き継いだ。「当社にとって大きな節目。木下前社長は06年に就任して以降、シマダヤブランドの価値向上に注力し、どんな経営環境においても卓越したリーダーシップを発揮された。常に背中で手本を示していただき、尊敬と憧れの想いしかない」と敬愛の念を隠さない。

一方で、「これからのシマダヤは経営者のトップダウンに頼ることなく、グループ全員の力を結集した自立型組織に転換していきたい」との考えを示す。「私自身も経営者として成長を目指すが、木下会長と同じようにはできない。足りない部分はグループのトータル力でカバーし合える体制が望ましい。何よりも、トップの限界を企業の天井にしてはならない。これからの人材には失敗を恐れず挑戦し、自分で考えて判断する力を養って欲しい」。

入社は1993年。そこから23年にわたり業務用冷凍麺事業に携わった。営業畑が長く、自身のことを「根っからの商売人」と表現する。最初の4年間は関東の業務用卸店を担当。「当時はまだ事業規模が小さく、売上をどんどん伸ばすことができた。卸店に同行し製品を1店ずつ売って歩くことを覚えたのもこの頃」。

次に97年から赴任したのは名古屋支店。主に事業所給食を担当した。ここでは他企業とコラボレーションする大切さを学ぶ。成功事例はスープメーカーとタイアップした「ご当地ラーメンフェア」だ。事前に納得いくまで何度も作りこみをし、試食を重ねて、様々なスープと麺の組み合わせを提案したところ、大きな反響が得られたという。

その後、東京の本社に戻って手痛い失敗も経験する。2003年にCVSベンダーと冷凍麺を使った新規メニューを開発し、発売初週に大ヒットを記録。

しかし、2週目以降の販売予測を見誤り、大きな廃棄ロスを出してしまったという。「当然ながら始末書を書くことになった。ただそんな失態を犯した自分を生かしてくれた会社に感謝している。少しでも挽回しようと翌年発売された弁当・総菜向けの『α麺』シリーズを必死に売り込んだ」。

  ◇  ◇

同社は2031年に創業100周年を迎える。来年には新たな中期経営計画(24~26年度)がスタート。「コア事業の家庭用チルド麺と業務用冷凍麺で収益基盤を固め、家庭用冷凍麺や海外事業のさらなる成長も図っていく。中長期的には新たな柱事業の育成にも取り組みたい」。なお、親会社メルコホールディングスの株式分配(スピンオフ)により、24年度中に東京証券取引所への新規上場を申請する予定。

一方、21年度に社業と並行して早稲田大学ビジネススクール(WBS)に通い、MBAを1年で取得した経歴を持つ。50代からの挑戦で最初は尻込みしたというが、一念発起し持ち前の積極性を発揮、同窓の20~30代らと親しくなった。「私の愛称は『岡ちゃん』。先日も食事会に参加した。余計なプライドを持たずに相手の懐に飛び込めるのは自身の強み」と“笑顔”を見せる。

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