明治ホールディングスはこのほど、東京大学弥生講堂一条ホールで、「東京大学大学院農学生命科学研究科免疫生体機能研究社会連携講座」オープニングシンポジウムを開催した。
開会あいさつで川村社長は「食品医薬品の研究の概念を超えた取り組みなくして、成果へはたどり着けない。グローバルな健康課題の解決に貢献すべく、食品医薬品の領域にとらわれない新しい発想での研究開発、新事業創出を目指したいというビジョンを東京大学と共有することができた」など講座開設の背景を説明。
また、21年に同社の企業スローガンを『明日をもっとおいしく』から『健康にアイデアを』へ刷新したことについて、「当グループが果たすべきことは、明治らしい健康価値の提供だ。食品・薬品それぞれの技術領域のシナジー創出の点では、同じ企業のなかにある強みがいまだ十分に発揮できているとは言いがたい。そこで、食品と医薬品の概念を超えた基盤研究推進に向けて『ウェルネスサイエンスラボ』を設立し、抗老化と免疫増強をテーマにエビデンス創出に向けた研究開発を進めているところだ」など語った。
そのうえで「本講座では、健康寿命延伸、プロダクトエイジングの実現を目指した免疫増強、抗老化研究の新しい拠点になることを目指すと聞いている。幅広い領域に精通し、グローバルに活躍できる人材育成にも取り組んでいただけることを期待している」など述べた。
東京大学大学院農学生命科学研究科長の中嶋康博氏は「腸管免疫系に着目した研究は、人々の健康増進、ひいてはサステナブルな社会の貢献につながる。持続可能で健康な食は人々の関心が最も高い」とし、さらなる研究に意欲を示した。
開会後の基調講演では、農学生命科学研究科附属食の安全研究センターの八村敏志教授が、食品に含まれる栄養素が腸管免疫系を介し生体機能に影響することを説明。様々な食品のなかでも、乳には免疫活性化、抗炎症作用、生活習慣病予防などに係る栄養が多く含まれていることを、エビデンスを用いて解説した。