国分首都圏 オリジナル商品の開発加速 新規マーケット開拓も

国分首都圏の前12月期業績は売上高3千660億円(前期比0.9%増)、経常利益55億6千万円(10.8%増)。前期から収益認識基準を適用、旧会計基準との比較では売上高2.5%の増収。経常利益は21年度に続き、過去最高を更新した。カテゴリー別の売上高構成比は、食品55.2%(うち菓子4.9%)、酒類40.2%、その他4.6%。

南博貴社長は「コロナ禍が落ち着き、スーパー・ドラッグ・生協向けは需要の減退が見られたが、業務用・アミューズメント向けが回復、EC・宅配も好調だった。利益面ではエネルギーコストや原材料高騰や様々な活動費が増加する中で、不採算取引の見直しや業務効率化による収益改善の取り組みが成果を挙げた」と語った。

また、重点強化に取り組んできたオリジナル商品の開発も貢献した。国分首都圏のエリア長計では、1億円以上のオリジナル商品を10品とすることを目標に掲げており、マーケティング部傘下に商品開発課を新設。昨年は木村屋總本店監修「小倉あんバター」、カネ松製茶「健康茶・プレミアムスティック」、日本橋紅花別館監修「日本橋スパイスカレー」、神田神保町「エチオピア ビーフカリー」、日本相撲協会公認「国技館焼鳥鶏つくねたれ味」などを発売。

オリジナル商品は前年比400%強と大きく伸長し、「首都圏だけでなく、全国のエリアカンパニーでの販売が広がっている」(南社長)。メーカー、小売との連携強化による差別化商品の開発を加速させる方針を示した。

23年度の基本方針は

①サステナビリティの取り組み強化
②新しいマーケットの開拓
③共創圏パートナーの拡大
④ヘルスケアの取り組み強化

サステナビリティの取り組みでは、「2024年問題」への対応を最優先にサプライチェーン最適化の取り組みを推進。東京・昭島の首都圏西マザーセンターの機能をフル活用し、酒類やオリジナル商品、路線便高騰に悩む地方メーカーに在庫保管機能を提供。60拠点のエリア配送拠点とも連携し、仕入れロットの適正化、配送合理化につなげるとともに、リードタイム延長への対応や納品待機時間の削減などの取り組みを進める。

昨年2センターでテスト運用を開始した、AIを活用の需要予測システムは今年度70センターに導入し、本格運用を開始。受発注システムの高度化により10%の生産性向上と業務品質改善、発注・納品業務の効率化につなげる。

新規マーケットの開拓では、事業者向け会員制ネット卸「問屋 国分ネット卸」の取り組みを強化。酒類・食品・菓子、日用雑貨や産直商材など約1万6千アイテムを取り扱いドロップシッピング機能(無在庫直送)により、リージョナルスーパーや外食チェーンのオンライン販売、雑貨店や観光施設など新たな販路が拡大。「問屋 国分ネット卸」の事業規模は、25年度に現状の約2倍となる20億円規模を目指す。

そのほか、共創圏パートナーとの取り組み拡大では、取引先の生協を通じて、過剰在庫に悩む沖縄県産黒糖を使った黒糖焼酎の開発や沖縄県産もずくの原料保管など、様々なプロジェクトがスタート。産地支援やオリジナル商品の開発など、生産者、メーカー、小売業と連携した共創圏の取り組みが広がっている。

ヘルスケア分野では、小売店での健康イベントの企画立案、管理栄養士監修のメニューレシピ作成などの取り組みを加速させる。

23年度の定量目標は、経常利益60億3千万円を計画。南社長は、「卸機能に磨きをかけ、食の最大マーケットである首都圏エリアにおいて、多種多様な取引先とのつながりを生かし、お取引さま、世の中の三方良しを実現するべく邁進していく」と意気込みを語った。