模倣は創造の第一歩というけれど、模倣の殻を破り、何かを創造することはなかなか難しい。今年で62回目を数える「名古屋まつり」は、郷土英傑行列が人気。一般応募から選ばれた市民が信長、秀吉、家康に扮し、家臣に守られながら市内をパレードする
▼愛知県は江戸時代、尾張、三河の二藩に分かれていた。「三河出身の家康がなぜ尾張の祭りに」という三河人の反発は、現在もよく耳にするが、「尾張も江戸時代は徳川家が治めていたのだから問題はあるまい」というのが尾張人の共通認識だ
▼三英傑に対する世間の評価は時代によって変遷しているが、当地で最も人気が高いのは秀吉。だが、私個人はあまり好まない。権力を握るまでの眩しいほどの働きの一方で、権力に連綿と固執する晩年の醜悪さが鼻につくからだ
▼秀吉は、どこか哀しい。信長の夢と同化した時代はあれほど輝いたのに、王として次の時代へ繋がるビジョンを持ち得なかった。王の夢を模倣する達人だったが、新たな王としての夢を創造できなかった。創造は難しい。けれど挑戦しなければ次の時代は拓けない。


