かつてない海苔離れが進行し、国産海苔の需要が大きく減退した。業界全体を挙げた巻き返し策が求められている。
2022海苔年度(22年11月~23年5月)から2024海苔年度にかけて乾海苔の共販(入札会)で取引された原料(乾海苔)の共販単価は上昇を続け、2021海苔年度比で2倍を超えた。発端は佐賀有明・福岡有明の凶作だった。
この間、多くの海苔商社たちが3年続けて値上げを実施し、利益の確保に努めた。原料高騰分をまるごと価格転嫁できたわけではない。それでも国内の海苔需要は大きく落ち込んだ。
値上げが続いた3年間を経て、現在は高騰以前の1割以上、およそ10億枚の年間需要がなくなってしまったのではないかと推測されている。
今年はホルムズ海峡封鎖の影響で包材などのコストが上昇しているが、さらなる需要減退を恐れて値上げの動きは鈍い。
2025海苔年度は平均単価16.95円で前年度比約7円安だった。22海苔年度とほぼ同水準まで、たった1年での下落。需要が縮小する中、高値で仕入れた原料在庫と安価に仕入れられた原料をどうバランスよく販売していくかが海苔商社らの経営課題となっている。
佐賀有明・福岡有明では昨年末、3年ぶりに高品質な海苔が多く出品された。山本海苔店などギフト商品を強みとする企業にとって待望の漁期となった。
海苔の作柄は質と量が相関する。長らく日本一の海苔産地だった佐賀有明は、22海苔年度から兵庫に譲っていた生産枚数1位の座を奪還した。
海苔商社らが構成する「海苔で健康推進委員会」は9月6日を「黒い海苔の日」と定め、今年から販売促進のイベントを全国規模で開催している。「黒(96)」は、おいしく上質な海苔の特徴であり、海苔の豊作も含意している。
商社の中には自責の念を込めて「海苔業界は信頼を失った」と語る人がいる。確かにスーパー店頭を見れば、ここ数年の間に色の浅い(黒くない)海苔が並ぶようになった。「黒さ」をおいしさの指標とするのであれば、需要と信頼を回復するために、これらを黒い海苔に置き換えていく必要があるだろう。
国産高騰の間に、最大産地である韓国産はもとより、中国産の海苔までも市場への浸透が加速した。価格が落ち着いた現在も、国産への切り替えは簡単な提案ではない。
原料高騰で水揚げ金額は膨らみ、価格転嫁で売上も急上昇した商社が少なくない。しかし需要が少なくなれば、長期的には国内海苔産業が先細りしてしまう。
宮城では生産開始を告げる海苔の種付けが始まった。まもなく漁期に突入する。

