生活者の食生活に欠かせない社会インフラとして確立した中食・惣菜。旺盛な需要に支えられ、25年の市場規模は12兆円が目前に迫るまで拡大した。業態別では、食料品スーパーの躍進ぶりが目立つ。各社とも惣菜売場を充実させることで競合との差別化を図っている。
大手スーパーでは今年からコロナ禍の収束を受け、衛生面への配慮から一時縮小していた惣菜のバラ販売を再開する動きが本格化している。イオンは焼き鳥をバラ売りする店舗数を順次拡大。串一本からの購入が可能になったことで、夕食の一品や家飲み需要を捉えて売上を大きく伸ばしている。
売場のマンネリ化を防ぐため、食トレンドや異国情緒を意識したバラエティー豊かな商品を投入する動きも目立つ。ライフコーポレーションは、ライフ大井町トラックス店で、タイ料理や台湾料理といったエスニックメニュー特設コーナー「WORLD FOOD」を展開。「珍しいメニューがライフで気軽に買える」「手軽に海外旅行気分を味わえる」といった購入客の声が支持を後押ししている。
一方、コンビニエンスストアでは付加価値創出による差別化戦略に舵を切った。長引く物価高の中で二極化する消費者ニーズに応えるため、「小容量」「健康志向」「本格感」の提案を強化している。
ファミリーマートは、もう一品として組み合わせやすい小容量のカップ惣菜を拡充。セブン-イレブンは高たんぱく・低糖質などの健康配慮商品を強化し、ローソンは家飲み層をターゲットとした本格おつまみなど、価格と価値を両立した商品開発で確実な需要獲得を図っている。
一般社団法人日本惣菜協会発刊の「惣菜白書2026」によると、百貨店は25年の業態別市場で唯一の前年割れを記録したチャネル。前年比0.7%減と微減にとどまったものの、コロナ前の19年比では5%以上の減少幅となった。
背景には、百貨店各社が進める大規模なリニューアルや効率化を目的とした売場見直しによる退店影響が依然として尾を引いていることが挙げられる。
これに対してドラッグストアの惣菜販売は存在感を増す一方だ。特に地方のロードサイド店舗では食品カテゴリーの強化に伴って売場面積が拡大。仕入れてきたアウトパック商品を並べるだけでなく、敷地内に惣菜店がテナント出店するケースも一般化した。
日本惣菜協会の調査によると、24年の惣菜売上は715億円(前年比11.3%増)に達し、二ケタ成長を継続。ドラッグストア業態自体は大量出店や国内の人口減少でエリア内での競争が激化。こうした状況下で惣菜を含む食品インフラの囲い込みを狙う構えだ。業界内では大手主導のM&Aによる寡占化が進んでおり、地域の中小チェーンを巻き込んだ覇権争いは最終局面を迎えている。
