今年も暑くて長い夏がやってくる。食品・飲料業界は猛暑(酷暑)と夏の長期化を「新たな勝機」と捉え、多角的なアプローチで夏商戦に挑む。メーカーの暑さへの向き合い方が変わる中、流通でも変化への対応が求められている。
つゆ市場 「氷元年」の呼び声も
日本気象協会は2026年夏秋を「梅雨入り・梅雨明けが早まり、暑さの到来が早い。厳しい残暑が続く」と予測。冷感商品・飲料など夏商材の早期立ち上げと、小売業には夏商材の売場展開を早めること提案している。
イオンは「猛暑は一過性ではなく、生活を変える構造的な変化だ」と指摘。ウェザーニューズ社と連携し、販売実績と気象データの相関関係を販売計画やプロモーションに反映させる。従来、食品のポートフォリオは主に秋冬向け偏っていた味の素は、「4~8月の春夏期に大きな事業ポテンシャルがある」と判断し、様々な新製品を投入。カゴメは火を使わない調理の拡大を見通し、新たな調理法を提案。明星は「今や1年の半分(4月中旬~10月上旬)は夏期と言える。夏を四分割してきめ細かなマーケティングを推進。暑くなればねり込み麺や独自製法の明星の汁なし麺が売れる環境を作って行く」。はくばくは夏の麺メニューの定番化による「マンネリ」と「栄養不足」を打破する新提案を推進。各社の各社の対応策は異なるが、商品戦略と販売戦略で工夫しながら夏商戦に挑む。
ニチレイフーズは22年3月からマイクロ波の影響を受けにくい氷の特性を使い、電子レンジ調理後にも氷が残り、冷たい状態で食べられる冷凍「冷やし中華」を発売。氷関連商品で先導した。味の素が今年から発売した「氷みぞれつゆ」は、冷凍庫で程よい硬さに凍結し、そうめんにかけて食べる麵つゆ。シャリシャリ氷の氷点下体験ができると評判だ。この分野には日本アクセスが「ぶっかけ氷つゆ ゆず香る昆布かつおつゆ」、キッコーマン食品「シャリっと冷やそうめん」、丸美屋食品工業「氷点下そうめんつゆ」などが参画。つゆ市場では今年を「氷元年」と呼ぶ声も出ている。
チチヤスは「凍らせて食べるチチヤスヨーグルト」を発売。一般的な発酵乳を凍らせるとスプーン通りに課題があったが、冷凍を前提とした新製品は「シャリのちなめらか」食感を実現。イオンは「割ってアイスバー ソーダ味」、4月には凍らせて飲む「アイスラリー」を発売。味の素AGFは、水ですぐに溶ける「ブレンディ マイボトルスティック」や「ブレンディポーション」シリーズを強化する一方、インスタントでは冷たいミルクにも溶けるミルク可用性を訴求。夏場は火を使わない調理が増えていることから、カゴメは様々な料理・食材にトマト調味料をかける「かけトマ」を訴求。ヒガシマル醤油は夏場に需要が落ち込むため、5月に「うどんスープ」を使った豆乳素麺の試食イベントを計画。キッコーマン食品は「デルモンテ ピュアフルーツ」シリーズに「凍らせて持ち運びOK」のロゴをパッケージに明記(一部商品は4月発売)。これを冷凍ストッカーでテストしたところ、通常の10倍売れたと言う。伊藤園は冷凍することでシャーベット状の食感も楽しめるパウチタイプのスムージー飲料「アサイーボウル Smoothie」を発売。はくばくは、夏の麺メニューの定番化による「マンネリ」と「栄養不足」を打破する新提案として、山梨の郷土料理をルーツとした「冷やしほうとう」を新発売。日本海水は熱中症の塩分補給に好適な携帯型商品「ポケットソルト」の増産体制を整え、3月からリニューアル品を発売した。
一方、夏が長引くにつれ、従来、秋冬商品の棚替えのタイミングは9月中旬から10月だったが、今年は10月後半から11月への後ろ倒しになると見る向きもある。冷し中華など一部商品の販売期間を延長する動きも出ている。



