21.3 C
Tokyo
20.2 C
Osaka
2025 / 11 / 17 月曜日
English
加工食品乾麺・乾物こうや豆腐のレジスタントプロテイン 広がる応用可能性 提唱者が課題・展望語る
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

こうや豆腐のレジスタントプロテイン 広がる応用可能性 提唱者が課題・展望語る

こうや豆腐に含まれる健康機能成分について、さまざまな研究が行われている。その一つであるレジスタントプロテインについて、提唱者である加藤範久・広島大学名誉教授がこのほど、その概念から健康に与える影響、旭松食品の研究成果や展望について説明した。

レジスタントプロテインは、1995年のキッセイ薬品との共同研究で、そばタンパク質による血中コレステロール低下作用の発見がターニングポイントとなった。消化抵抗性があるものがコレステロール低下作用に関与するというアイデアをもとに、セーレンとの共同研究では、絹たんぱく質(セシリン)の食物繊維的な役割や、レジスタントプロテインとしての可能性を検討。セシリンの抗酸化作用や、血糖値改善効果が明らかになった。2010年頃から、レジスタントプロテインの健康機能に関する研究が活発に行われている。

旭松食品の研究では、こうや豆腐にコレステロール低下、中性脂肪低下、筋委縮予防、血糖値改善など様々な効果が報告されている。こうや豆腐に含まれるたんぱく質が、カゼインや大豆たんぱく質よりも大幅にコレステロールを低下させるという研究データがある。

さらに、オランダのグループとの共同研究では、臨床試験でこうや豆腐がヘモグロビンA1cを優位に低下させることが分かった。こうや豆腐の製造工程において、特に凍結や低温熟成がレジスタントプロテイン増加の鍵であることを示唆した。

今後の研究課題として、糖尿病、認知症、膵臓炎、慢性腎臓病などの病態マウスを用いた健康試験を提案。特に大腸炎モデルがホットな分野であり、大腸環境を改善する食品成分の特定が重要。長期試験や臨床試験の実施、こうや豆腐の難消化性たんぱく質の同定、こうや豆腐以外の食品への応用、機能性を高めたこうや豆腐の開発などを提案した。

最後に、ヨーロッパの研究グループがレジスタントプロテインのレビュー論文を発表し、たんぱく質の構造と消化性の関係について詳細を解説。疎水性の高いたんぱく質が消化されにくいという特徴に注目して、医療科学と食品工学の融合が重要であると述べた。

関連記事

インタビュー特集

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

明星食品 新提案「麺の明星 主食麺宣言!」 4つの軸の袋麺アレンジで食事性アップ

明星食品は、こだわりの麺技術で開発した商品ラインアップを全面に押し出し、新たに「麺の明星 主食麺宣言!」と銘打ったプロモーションを大々的に展開している。

イチビキ 中村拓也社長 豆みそ・たまりNo.1の矜持を 人口減睨み業務用・海外強化

安永元年(1772年)創業の醸造・食品メーカー、イチビキ。今年6月20日付で同社社長に就いた中村拓也氏は、98年入社。

「大豆ミート」対談 マルコメ・日本製鋼所 次世代型食品へ課題と提言

健康志向が高まり、プラントベースフード(PBF)にも関心が集まる中、2023年9月に大豆ミートメーカー5社が発起人となり、「日本大豆ミート協会」が設立された。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点