日本マーガリン工業会の宮道建臣会長は、このほど行われた総会後の懇親会あいさつで、「食品加工油脂業界も厳しい経営環境の中ではあるが、消費者や実需者(バイヤー)の皆さまのニーズを踏まえた製品開発に積極的に取り組み、需要回復と市場活性化に取り組む」と意欲を示した。
この1年間については「インバウンドなどの好影響が出始め、お土産需要や外食需要が伸び始めている。一方で、食用加工油脂業界では製品自体のダウンサイジングや食品ロスの削減などの影響もあり、食用加工油脂生産量は8年連続で減少。最近は急速な為替相場の変動や物流コストなどの上昇など、さらなるコスト価格の上昇が続いている」と振り返った。
こうしたコスト上昇を円滑に販売価格に転嫁し、価値に見合う価格形成を行うことが重要との認識も示した。
世界市場にも一層目を向けていく。城詰秀尊副会長は「マーガリンを逐次発展させてサイエンスにしているのは日本のマーガリンだ。アジア領域のパンはとてもおいしく、日本企業も努力しながらパンに欠かせないマーガリンの現地輸出などで貢献している。世界市場はまだまだ開拓余地がある」と語った。その上で、今後もマーガリンが日本の食の安全保障を担うとともに、世界の食を豊かにしていくことを祈念した。
農林水産省大臣官房新事業・食品産業担当の宮浦浩司総括審議官は来賓あいさつで「日本経済は徐々に分岐点に差し掛かっている。数年前まで行政は、なるべく規制を緩和し自由な経済活動ができる環境づくりを主としていたが、近年は世界規模でマーケットを取り合うなか、官民が積極的に協力して世界マーケットを含めた取り組みで日本経済の向上を目指す方向へ変化している。東南アジア、東アジア含めた国際マーケットで競争できるよう企業評価を一層上げていく必要がある」と述べた。
同工業会は24年度「より幅広い視野をもって活動を前進させる」ことを目指し、安心安全・安定供給を最優先に、食品ロス削減・物流問題、原料調達課題について国内外の情勢を注視していく。課題がある若年層獲得に向けては引き続き、マーガリンの認知度向上を目指し、10月24日「マーガリンの日」関連事業など需要促進活動を行う。
役員改選では新理事・監事に直井広明氏(日新化工社長)、新理事・常任理事に高橋信行氏(丸和油脂社長)が就任。