2.2 C
Tokyo
6 C
Osaka
2026 / 02 / 08 日曜日
ログイン
English
農水畜産業水産三陸の嗜好品「まつも」の絶滅を陸上養殖で復興目指す 阿部伊組「SEASON」

三陸の嗜好品「まつも」の絶滅を陸上養殖で復興目指す 阿部伊組「SEASON」

阿部伊組(宮城県本吉郡南三陸町 代表阿部隆)は、北里大学、理研食品との共同研究により、三陸地域の特産品「まつも」の陸上養殖に向けた実証実験に成功した。年度内には都内ホテルレストランなど域外外食事業への卸販売を開始する予定。

同地域では震災以降地域水産品の減産が続いているが、陸上養殖により特産品の事業復興のモデルケースづくりを目指す。

「まつも」は日本全国に生息するが、近年絶滅の恐れが高いとされている海藻。三陸地域では高級品として好まれ、高値で取引されているが、震災以降収穫量が減り続けていた。現在は市中に出回る機会が少なくなっており、食品としての存続すら危ぶまれている。

同社は「まつも」の陸上養殖を事業化し、安定供給を目指すことを目的に「SEASON -Seaweed Specialty Store-」 (阿部将己代表)を設立した。

施設で収穫された「まつも」
施設で収穫された「まつも」

養殖の実用化は、「閉鎖式エアーリフト法」を用いて種苗の陸上養殖で研究成果を持つ北里大学、理研食品との取り組みによるもの。現在は理研食品の陸上養殖施設(陸前高田ベース、岩手県陸前高田市)の一角で生産しているが、2026年(令和8年)までに自社施設を稼働させる。

「まつも」の年間収穫量は、地域全体(宮城・岩手・青森)で震災前は2~3tだったが、現在は200kg程度にまで落ち込んでいた。SEASONの阿部代表は「スタートアップの現段階は乾燥重量で約30kg。今後年間1tにまで拡大したい」としている。

収穫された「まつも」は、近域で収穫された海藻類とあわせ、オリジナル商品「三陸海藻バター」などとして販売中。また卸販売では、都内のホテル大手からも「まつも」に加え、他の海藻の供給も依頼されている模様だ。

「三陸海藻バター」(season)
「三陸海藻バター」(season)

海藻は国内に2000種、南三陸地域だけでも200種以上あり、現在食用とされているものは約50種だが、市中に出ているものは数種類のみ。近年ではアカモクが好事例だが未利用海藻が、栄養価とともに商品価値の高い食品として認知が広がるケースもある。今回の「まつも」は、高密度に養殖でき、収穫時に異物除去作業が必要ないなどの特性により数ある海藻のなかから選択したもの。

今後の展開について同社では、地域水産業の後継者不足や海水温上昇による水揚げ量の減少などの課題解消に向け、陸上養殖技術の向上と収穫物の加工販売を強化していく方針。

海藻原料の生産から最終製品の販売まで一気通貫したビジネスモデルを構築し、地域水産業の振興を目指す。

なお今月19日には、宮城県南三陸町にアンテナショップ「SEASON cafe&shop」を開設した。同店では養殖「まつも」を使用した海藻スープや海藻バターの他、茎わかめを練りこんだ海藻ソーセージなどのオリジナルメニューを提供し「まつも」をはじめとした地産海藻類の特産品開発をさらに進めていく。

関連記事

インタビュー特集

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。

繋げる、繋げる、繋げる たこ焼きコミュニケーション足掛かりに TKO・木本武宏さんが次のフェーズへ

STUDIO TAMUROはお笑いコンビ「TKO」木本武宏さんの活動拠点。木下さんの実妹・大岡真裕美さんが代表を務める「オフィスTAMURO」が運営し、トークライブや、YouTube番組作成スタジオとして利用してきた。昨年5月からは新たな活動として、毎月3日だけ営業する「たこ焼き店」がスタートした。

SST=“サミットの仕事が楽しい”へ 新たな競争軸を作る 服部哲也社長

――中期経営計画の進捗はいかがですか。― 服部 「良い×強い=最強」という言葉を掲げた中期経営計画「頂(イタダキ)2025」は、最終年度を1年延長して26年度までとした。

食品産業センター 荒川隆理事長に聞く 「食サス」設立でサステナ課題深掘り フードサプライチェーン全体の連携で

日本の食品産業は、国内外から調達された農畜水産物を原料として、健康で豊かな生活を送るために必要な加工食品を安定的に製造・供給する産業として発展してきた。