菓子卸最大手で自社企画品（モントワール商品）を手掛ける山星屋は6月28日と29日の2日間、パシフィコ横浜（神奈川県横浜市）で菓子総合展示会「ARISTA FAIR（アリスタフェア）2023」を開催し、メーカーや小売業に向けて、今後の菓子市場を支えるZ世代への提案ほか、健康やSDGsなど多彩な切り口の提案を一挙公開した。
6月28日、開催に先立ち挨拶した猪忠孝社長は「現在の菓子産業は原材料と人件費の高騰、コロナ後の需要急増による供給不足で非常に困難な状況が続いている。この困難な局面においても“お菓子の力で笑顔を増やす”を今回のアリスタフェアのテーマに掲げ、新たな市場に即した企画・商品開発に取り組んでいく」と意欲をのぞかせる。
会場は、メーカー出展ゾーンや五感を刺激する実演ソーンなど5つのゾーンで構成され、その中で山星屋の企画提案ゾーンでは、Z世代への提案を目玉の1つと位置付ける。
取材に応じた濵田修司商品企画開発本部シニアアドバイザーは「Z世代がこれから菓子市場のボリュームゾーンとなる中で、Z世代にフォーカスした課題解決的な要素を盛り込んでいる。産学連携では、当社のデジタルプロジェクト部が大学生とコラボして商品開発しており、中高年の年代しか食べないようなお菓子をどのようにしたら若い人にも食べてもらえるかということを一緒に考えている」と語る。
産学連携の最新作が、栗山米菓と近畿大学が共同開発して今後新発売される「たぶん日本一堅くてやみつきになるあられ」。
コラボは、山星屋が両社の橋渡し役を務めて実現した。
開発過程については「近畿大学生に大袋の米菓商品をみせたところ“学生のカバンには大きすぎて入らない”とのお声があり、その後、いろいろ試して、コンパクトにしてパウチにフック穴を設けたりした」と振り返る。
協力大学には、近畿大学ほか、日本大学、武庫川女子大学が名を連ねる。「協力大学も極力増やしていきたい。大学にもマーケティング研究会があり、この間も早稲田大学マーケティング研究会の学生と交流してきた」という。
近畿大生から“ゆるキャラを活用しよう”との発案で生まれたのが岩塚製菓の「バンザイ山椒」。
パッケージは、岩塚製菓のロゴを除き、パッケージの表も裏も大部分が手書き文字で構成さているのが特徴。
パッケージには非計画購買を促す働きがあるという。
「お菓子は割とパッケージで買われることが多い。来店者の約7割が“何か面白そうなものはないか”とその場で見て購買を決定する」と説明する。
「バンザイ山椒」は、山星屋が運営するWEBマガジン「お菓子と、わたし」主催のオンライン投票イベント「菓子パケ大賞」でインパクト部門金賞を受賞し、28日に展示会場で受賞式が開催された。
菓子パケ大賞は、味・価格・ブランドなどではなくパッケージに着目して商品の新しい魅力を広める新イベントで23年4月に開設された。
WEBマガジンは、店頭や各社のホームページなどでは伝えきれない菓子の独自情報を提供。定期的にチェックしてもらうことを目指して内容の拡充を図り、SNSでコミュニティを形成していく。
その一環で、菓子・スイーツに精通している女性芸人として、ぼる塾とコラボし各地を巡る「ぼる塾と一緒に行こう！おかしなお菓子女子旅」と題した連載企画を公開。毎月15日に更新され、公開スケジュールは6月の北海道・東北を皮切りに信越・北陸（7月）、関東（8月）、東海（9月）、近畿（10月）、中国・四国（11月）、九州・沖縄（12月）を予定している。
6月28日は、展示会場で、ぼる塾、新潟住みます芸人いっすねー！山脇氏、栗山米菓の栗山大河専務取締役によるトークセッションが行われ、7月31日にコンビニ先行発売される「小さなばかうけ よしもとカレー風味」（栗山米菓）が紹介された。
