「漬物の素」ナンバーワン目指す 時代に合わせ伝統食も進化・発展 厚生産業・里村俊介社長

1959年創業の厚生産業(岐阜県揖斐郡)は、「発酵食品の素晴らしさ」と「手作り食品の楽しさ」を伝えていくことを使命に「漬物の素」や「米こうじ」製品を幅広く手掛け、日本の伝統食である漬物文化の継承や成長・発展にも力を尽くしてきた。

塩こうじ、甘酒、ぬか漬けなど、数々の健康食ブームの中で自社製品の売上も拡大。漬物の素では、浅漬けの「あっさり漬けの素」シリーズや「熟成ぬか床」をはじめ多彩なラインアップを展開。こうじ製品は業務用の原料供給を主体に、市販用では「お米と米麹でつくったあまざけ」や「すっきり飲める腸活甘酒RP」などの人気商品を取り揃える。

今年4月1日付で同社ならびに販売子会社コーセーフーズの新社長に就任した里村俊介氏は1982年生まれ。大学卒業後、メーカー勤務を経て11年に厚生産業入社。この春、父の里村大像会長からバトンを受け継いだ。

トップ就任に当たっては、「企業として最上位に掲げる理念を不変のものとして貫くとともに、複数年かけて会社が達成すべき大きな目標として①漬物の素 名実ともにナンバーワン②誰からも認められる麹の第一人者企業となること」を新たに掲げた。

同社の理念は、「社是」「企業使命」「経営姿勢」「行動指針」「私たちの使命」の5つで構成。特に「社是」「行動指針」「私たちの使命」は全社員で共有徹底を図っている。

事業に関しては、「本来持つ強みを生かし切れていないところがあった。改めて自分たちの強みを発揮して、漬け物の素と麹製品の2つの柱をもっと深掘りしていきたい。単純に売上・利益を上げるというのではなく、当社の企業使命として伝統的な食文化を時代に合わせて進化・発展させていくことが大切。漬物の素のカテゴリーリーダーとして、知見とデータに基づく提案をより強め、漬物の素の再評価につなげたい」とする。

さらなる成長に向けた挑戦も不可欠だ。甘酒で培った糖化技術を応用したプラントミルクの提案や麹の化粧品原料への活用など、麹の汎用性や新たな用途を専門メーカーとしてしっかり広げていく考え。化粧品原料については、パシフィコ横浜で開催される「化粧品産業技術展CITE JAPAN2023」(5/17~19)への出展も決まっている。

「コロナ禍では『新しいことに目を向けないと生き残れない』という風潮が世の中を支配した。私も当初はそう考えていたが、果たしてそうだろうかと。われわれの事業は世間が言うような斜陽産業ではないし、伸びしろはある。まずは自分たちが手掛けているこの事業で、本当に必要とされる企業になっていかなければいけない。その実現のためにも社員を幸せにできる会社にしていきたいと思っている」。

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里村俊介氏(さとむら・しゅんすけ) 1982年2月22日生まれ(41歳)。04年3月明治大学農学部農業経済学科卒、同4月ブルドックソース株式会社入社、11年厚生産業入社、15年取締役経営管理部長、16年グロービス経営大学院にてMBA取得、17年専務取締役、23年4月より現職。

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