CO2削減で新戦略 8社17拠点に電力融通 ハウス食品グループ

ハウス食品グループ本社はJFEエンジニアリングとの間で、ハウス食品グループ内の工場で発電した電力を国内の関係会社・事業所8社17拠点に融通する多拠点一括エネルギーネットワークサービス「JFE-METS」を実施することで基本合意した。運用開始予定は2024年4月、契約期間は15年。同サービスにより、対象拠点で使用する電力の100%を賄う計画。2020年度比で対象拠点のCO2排出量を約12%、エネルギー使用量を約17%削減できる見込みだ。

JFEエンジニアリングは、ハウス食品の静岡工場に約1万2千世帯相当の発電能力を有する大型ガスコージェネレーションシステムを設置し、「電力」と「熱(蒸気、温水)」を供給するサービスを提供する。

さらに同社は、JFE―METSの仕組みを利用し、静岡工場で発電した余剰電力にJFEエンジニアリンググループの保有する電力を加え、送電ネットワークを活用し、ハウス食品グループの8社17拠点に電力を供給する。同一企業グループ8社17拠点への全国電力融通は拠点数として国内最多となる。

都市ガスなどを利用して発電するガスコージェネレーションシステムは発電と同時に発生する熱を「蒸気」と「温水」にして有効利用することでエネルギーを無駄なく利用できることが特徴の一つ。ハウス食品は製品の製造時に「蒸気」と「温水」を多く使用するため、発生する熱を無駄なく活用でき、より高いエネルギー効率の実現につながることがポイントだ。

同グループは18年から今回の取り組みの検討を開始した。20年4月からプロジェクトを始動。グループ各社との交渉が難航したが、20年10月の首相によるカーボンニュートラル宣言が後押しとなり理解が進んだ。今年に入り、ウクライナ危機によるガスや資材の高騰という事態に直面したものの、電力のひっ迫リスクが明らかになり、各社への電力の長期安定供給ニーズが高まったため、今回の電力融通が実現に至った。

ハウス食品グループは今年5月、2050年カーボンニュートラル(スコープ1、2)の目標を設定済み。「グループ全体でのCO2削減の取り組みの一つ」(ハウス食品グループ本社コーポレートコミュニケーション本部CSR部・平田真介環境推進課長)として、多拠点一括エネルギーネットワークサービスの実施で基本合意した。

同グループは環境への取り組みについて「現在の第七次中期計画の重要テーマとしてCO2削減と廃棄物削減に取り組んでいる」(同・出口昌義環境企画課長)。今後も今回の取り組みを含む様々な取り組みを加速させる。「持続可能な社会の実現を目指し、循環型モデルの構築に取り組む」(同)としている。