カゴメ「ラブレ」100%植物性で手応え 新規業態の開拓進み、機能評価も

2006年から植物性乳酸菌醗酵飲料「植物性乳酸菌 ラブレ」シリーズを展開しているカゴメは、9月末より同シリーズを100%植物性の乳酸菌醗酵飲料としてリニューアル発売した。そこで乳酸菌飲料事業の近況や100%植物性「ラブレ」の開発背景などについてマーケティング本部飲料企画部1グループの飯島靖主任に聞いた。

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(上期の乳酸菌飲料事業の振り返り)昨年9月から、「ラブレ」の基幹品であるプレーンタイプを、整腸と保湿の2つの機能を表示した機能性表示食品「ラブレダブル」として新発売したことや、TVCMやSNSキャンペーンなどプロモーション展開、期間限定によるプラス1本の増量品発売などが奏功し、前年同期を大きく上回った。これらにより新しいお客様が増えた。その結果、「ラブレ」全体では前年同期比約105%で推移し7~8月は110%を超えた。乳酸菌飲料事業は、これまでは厳しい状況が続いてきたが、ここにきて機能性のアクションが実を結び、しっかりとした形になり始めた。

飯島氏(カゴメ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
飯島氏(カゴメ)
(「ラブレダブル」の評価は)SNSのコメントなどをみても非常に高く評価されている。新しいお客様は美容への関心が高く、これが新規顧客につながっている。従来より「ラブレ」には美容への良いイメージが存在していた。植物性乳酸菌による情緒的なイメージや、一般の乳酸菌飲料に比べて低カロリーなので、すっきりとした味わいが女性に好評だった。これに「肌の潤いを守るのを助ける」という確かな機能が加わったことで美容に良いイメージがさらに高まった。コロナによるマスク着用が常態化し、肌荒れの女性が増えている。メイクアップ美容ではなく、インナービューティとして内面の美容に意識が向いている。

(増量品の効果について)2020年10月からスモールスタートを切ったが、新しいお客様の獲得やリピートにもつながるため、期間限定により引き続き実施していく。

(今秋冬に向けた取り組み)「ラブレ」シリーズの動物性原材料を植物性原料に置き換え、100%植物性の植物性乳酸菌はっ酵飲料として9月からリニューアル発売したことがコアな戦略だ。リニューアル発売に合わせ、シリーズのイメージキャラクターに昨年に引き続き女優の井上真央さんを起用し、「ラブレダブル」の新TVCMを9月末より全国で放映。さらにSNSキャンペーンや、ラインアップを増やしながら増量品も展開する。

(100%植物性切り替えへの手応えは)「ラブレ」の100%植物性への切り替えは、技術的なハードルが高く、味の再現が難しかった。単純に乳を大豆に置き換えるだけでは酸っぱくなり、酸味を抑えることに苦労した。コアファンが多いため、味は絶対変えられなかった。発売後は想定以上の手応えで、おかげさまで流通の反応もすごく良く、新しい流通の取り扱いも増えた。大手量販店がアイテムを拡充する中で、ディスカウントストアなど新たな業態も目を向けるようになった。植物性のトレンドが広がり、乳酸菌飲料の中で100%植物性を体験できるのは「ラブレ」しかない。こうした評価により、今までにない手応えを感じている。

(乳酸菌飲料市場について)「ヤクルト」に代表される乳酸菌飲料市場は、「ヤクルト1000」が空前のヒットを飛ばしており、その効果は尋常ではない。一方、乳業系のドリンクヨーグルトは不調が続いているようだ。マーケットでは睡眠など新たな価値を訴求した商品が次々と発売され、開発競争は激しさが増しているが、中長期的には成長していくカテゴリーだと思われる。「ラブレ」ブランドも機能的な価値を訴求しながら、バリューアップを目指していく。

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