飲料、小型ペットボトル値上げ サントリーの発表で加速の兆し

 今後、飲料各社の相次ぐ値上げ発表が予想される。国内で年間4億ケース以上の販売ボリュームを持つサントリー食品インターナショナルが16日、小型ペットボトル(PET)を中心に165品の値上げを発表したためだ。

 飲料市場のメイン容器となる小型PETの値上げの動きは、今年に入り輸入水などで局所的に起こっていたが、実質的には今回、小型PETだけで100品以上の値上げ発表に踏み切ったサントリーが先鞭を着けた。上位メーカーの動きに追随してきた過去の事例から各社の追随が見込まれる。

 一方、大型PETの値上げについては、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスが2月に先駆けて発表し、5月1日出荷分から「コカ・コーラ」「ファンタ」「スプライト」など炭酸飲料1.5Lと「アクエリアス」「綾鷹」「爽健美茶」など2Lの計16品を対象に実施した。

 同社は現在、小型PETの値上げについては検討に留めている。

 同社のカリン・ドラガン社長は13日開催された決算説明会で「小型PETを中心に全ての販売チャネルでの価格改定を今年の下期(12月期)をめどに実施することを前提に前向きに検討を進めている」と語る。

 飲料は、調味料などと比べて消費スピードが早いことから生活者がいつでもどこでも手軽に買えるようにボリュームを追求して利益を得る薄利多売の性質を持つ。

 その上に価格競争が激しさを増し、トクホや機能性表示食品の付加価値化の動きはあるものの、総じて店頭では希望小売価格との乖離が大きく単価アップが長年の課題となっている。
 加えて所得が低迷する中、値ごろ感が訴求力を持つことも単価アップの足かせになっている。

 コカ・コーラは小型PETの値上げにあたりこの消費環境と競争環境を見定めていく。

 コカ・コーラボトラーズジャパンのコスティン・マンドレア執行役員最高営業責任者兼営業本部長は「まず大型PETの影響がどれくらいあるのかをみていく。売上収益・消費者・業界への影響を最初に分析する。次に競合環境を懸念する。最終決定する前に市場を再度分析していく」と説明する。

 今回、小型PETにおいてサントリーが先んじて動いたことで、コカ・コーラのさらなる変化対応も予想される。
 全国清涼飲料連合会(全清飲)によると2020年容器別品目生産量シェアはPETが76%。このうち小型容器に相当する1~699mlは72%を占める。(全清飲では400~699mlを中型と位置付ける)。

 飲料の値上げは2019年4月以来、約3年ぶりとなる。

 19年は、コカ・コーラが先鞭をつけ1月8日に発表し4月の出荷分から実施。これ続いて1月には、サントリー食品インターナショナル、アサヒ飲料、キリンビバレッジの順に発表され、5月の出荷分から実施に踏み切った。
 続いて2月には伊藤園(6月出荷分から実施)、大塚食品(5月の出荷分から実施)、ポッカサッポロフード&ビバレッジ(6月出荷分から実施)の順で発表された。

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