中小企業固有のミキサードリンクが20歳以上の若者やインバウンド客から脚光を浴びて活性化している。
ミキサードンクとは、サワーや酎ハイなどの焼酎入りアルコールメニューを飲食店や家庭で作ることを目的とした清涼飲料水(焼酎割り用飲料)。炭酸か非炭酸かは問わない。

6月26日、都内で清飲記者会取材会が開催され、ミキサードリンクで作るサワーや酎ハイの魅力について、全国ミキサードリンク協会の阿部豊会長(スミダ飲料代表)は「様々なアレンジが可能である点が一番の魅力」と語る。
フレーバーと同じ果実を加えるなど自分好みの材料を組み合わせれば、アレンジは無限大となる。
同協会が推奨するサワーの作り方は、フレーバー炭酸飲料(直接飲料)のミキサードリンクで割る場合、焼酎が2割または3割に対し、フレーバー炭酸飲料が7割もしくは8割の比率となる。
シロップや濃縮飲料のミキサードリンクを使用して炭酸水で割る場合は、焼酎が2割または3割に対し、シロップ・濃縮飲料が1割または2割、炭酸水が6割または7割の比率となる。
これらの比率は好みに応じて変えられ、中でも焼酎の濃度を薄く調整できる点が若者など飲酒エントリー層に受け入れられているとみられる。
「焼酎の量を少なくしてアルコール度数を低くすることで、お酒の登竜門として、お酒の苦手な方にも飲んでいただける。サワーや酎ハイを通じて、少しでもお酒の魅力を広めていきたい」と力を込める。
アルコール度数や味わいをカスタマイズできる点が、缶容器(RTD)の缶チューハイやハイボールにはない魅力となる。
田中秀子前会長(博水社社長)も「ミキサードリンクのメリットは、お酒に強い人と弱い人の両方に対応できる点にある。バラエティが強みであり、自分の好みに合わせて飲むことができる」と話す。
多彩にアレンジできることから居酒屋などの外食店のドリンクメニューにも好適。季節のドリンクメニューの打ち出しも容易にできるという。
ミキサードリンクの物性的な特長は、焼酎に合わせたフレーバーリング技術にある。
「果汁量に定義はなく、高果汁の濃縮ベースを開発することも可能。炭酸入りの直接飲料でも果汁量の多いものや少ないものを作れる。香料の技術が物凄く進化しており、低果汁のものであってもフレッシュ感を打ち出せる」(阿部会長)と説明する。
果汁系フレーバーは特に飲酒エントリー向けという。
「焼酎もさっぱりした味わいのものが出回るようになり、芋焼酎を炭酸で割る時代がきている。ミキサードリンクもその延長でいろいろな種類の焼酎と組み合わせて楽しんでいただきたい」(田中前会長)と述べる。
居酒屋などでみられる多彩なサワーのメニューは、インバウンド客には物珍しく映るという。
「『あの店に行ったらこんなフレーバーがあった』『こっちの店に行ったらこんなフレーバーがあった』と海外のお客様からすると非常に物珍しく思われるのだと思う。ヨーロッパでは香水文化によってシロップブランドが展開されていると推測するが、アメリカでは割り材文化や濃縮文化はほとんどみられずチャンスはあると思う」(阿部会長)とみている。
ミキサードリンクを考案したのは、当時、ラムネメーカーだった博水社の田中専一氏(2代目社長)。海外の飲料ブランドや大手飲料メーカーの参入により、ラムネやサイダーを製造する中小企業が苦境に陥っていた1980年頃だった。
「父がアメリカ西海岸の団体旅行に参加し、庶民的なバーやカクテルから大きなヒントを得たと聞く。ラムネを作れるということは割るものだったら作れるかもしれないと考え、ジンやテキーラといったお酒は当然日本にはなく、焼酎に辿り着いた」(田中前会長)と説明する。
こうしてミキサードリンクが誕生すると、日本中の中小企業で割り材サワー文化を広めようとお互いに調合のヒントなどを教えあった。
当時の状況について「ラムネ屋は歴史が長く、父の代は2代目、私の代は3代目と、お互いに知っている関係。ラムネが売れなくなり廃業されるところもある中で、良いことも悪いことも共有していることから、みんなで一緒にやろうという発想になったのだと思う」(田中前会長)と推察する。
中小企業固有のものとして育てていこうという機運が高まり、全国清涼飲料協同組合連合会と全国清涼飲料工業組合連合会は1982年(昭和57年)2月、分野製品6品目としてミキサードリンク(焼酎割り用飲料)を宣言。
分野製品の宣言は、1977年に公布・施行された中小企業分野調整法(分野調整法)に基づくもの。
分野調整法は、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律で、大企業者は分野製品への参入を控えることが求められる。
1977年12月に、ラムネ・シャンメリー・瓶詰コーヒー飲料・瓶詰クリームソーダ・ポリエチレン詰め清涼飲料の5品を宣言し、ミキサードリンクは6品目として追加された。
1985年4月には、全国ミキサードリンク協会が設立され、現在も全国清涼飲料連合会(全清飲)の中小部会として総会が開かれ情報共有がなされている。

清飲記者会取材会ではサワーづくりの実演と試飲を通じて各社商品も紹介。
スミダ飲料は、希少価値の高い日本国内で育った厳選素材を使用したシロップ「KIWAMI」シリーズの「国産シャインマスカットベース」と「神奈川県産湘南ゴールドベース」をアピールした。
スミダ飲料の阿部代表は「大体は6倍希釈前後だが、焼酎の量を半分、シロップを多めにして炭酸で割り飲みやすい『ちょいアル』にしているお店もある」と説明する。

2色の果汁入りフレーバー炭酸飲料「ハイサワー」を組み合わせて「縁結びハイサワー」を実演するのは博水社。いくつかの組み合わせがある中で、焼酎だけ入ったグラスに、杏仁豆腐の杏仁の香りとレモン果汁を組み合わせた「ハイサワー スンチー」を3分の2まで注ぎ、グラスを斜めにして「ハイサワー レモン」を淵にあててゆっくり注ぐやり方がお披露目された。
「色々な味のバリエーションや比重の割り材があるからできる面白さだと考えている。割ることは楽しいということを伝えていく」と博水社の田中社長は語る。

今年、創業110周年の節目を迎えた丸源飲料工業からは、ミキサードリンクの中でも色映えするものとして「ハーダース モナミキサー クラシック キウイミックス」と「ハーダース モナミキサー ピンクレモン」の2つのシロップを紹介した。
丸源飲料工業の阿部智靖取締役CF推進室室長は「『キウイミックス』は果汁50%でキウイの果肉も入っており、繊維感なども楽しめる。『ピンクレモン』はピンク色でレモンと、色と味が違う変わり種で楽しみや驚きをご提案している」と胸を張る。

バーテンダーに人気の看板商品「能勢ミネラルソーダ」を展開する能勢酒造は、果汁入りフレーバー炭酸飲料「能勢レモンサワー」をアピール。
大阪府豊能郡能勢町・吉野地区の地中深くの花崗岩層を源として湧き出す桜川の天然水を、全商品の源水として江戸時代中期から現在に至るまで使用していることも紹介した。
能勢酒造の子安丈士社長は「関西ではまだあまり見ないが、東京のお店によってはお客様が自分で注いで割るのも浸透しているようだ」と述べる。

スター食品工業は、クエン酸配合の濃縮飲料「お疲れさんにクエン酸!焼酎割用」と「お疲れさんにクエン酸!梅」を展示した。

