不二製油グループ 機能性油脂「プロレア」 DHA強化食品の利用拡大へ

不二製油グループは、22年度の農芸化学技術賞を受賞したDHA/EPA含有油脂「プロレア」の事業展開を強化する。

DHA/EPAは脳機能の低下を抑え、認知症予防に有効な素材として知られているが、酸化安定性が低いため魚臭が発生しやすく、一般食品への利用は限られていた。同社では独自技術のフジスタビライゼーションテクノロジー(FST)によって、健康機能成分であるDHA/EPAの安定化に成功。一般食品にDHA添加可能な高度な酸化安定性を有する機能性油脂「プロレア」を開発した。

また、DHA強化食品では機能性表示食品の脳機能に関するヘルスクレームをうたう場合、最低でも480mg/日と有効摂取量が多いため、コスト面など製品化のハードルが高いことが課題となっていた。

先行研究では、乳化状態のDHAを摂取することで吸収率がアップすることが分かっており、同社ではグループのオーム乳業と連携し「プロレア」を用いた乳製品を製造。島根大学医学部・橋本道男特任教授および仁寿会・加藤病院と、学・医・産の共同研究によるヒト介入試験で、従来の約半分程度となる低用量のDHA(297mg/日)摂取でも記憶改善効果および高齢者の骨折や骨粗鬆症リスク低減効果があることを確認した。

機能性油脂「プロレア」の開発に加え、認知機能の低下抑制、骨折リスク低減の研究成果など一連の応用展開の取り組みが評価され、このほど日本農芸化学会の22年度「農芸化学技術賞」を受賞した。

不二製油グループ本社の木田晴康CTOは「高齢化社会を迎え、認知症をはじめとする加齢に伴う疾患への対策は日本だけでなく世界的な課題となっている。当社グループは10年以上前から認知症予防に向けたDHA/EPEの研究を進めてきた。DHAは酸化安定性が低いため一般食品への利用が難しく、サプリメントに偏重していたが、安定化DHA技術を活用した『プロレア』によって幅広い食品でDHA/EPAを日常的に摂取できるようにしていきたい。農芸化学技術賞の受賞を機に、まずは国内での展開を広げ、将来的には海外展開も視野に入れていく」と語った。

島根大学の橋本教授は、「DHAの食品利用には多くの課題があったが、安定化DHAの開発により可能性が広がった。今回の共同研究を通じて、DHA強化食品は健康な生活を支える上で効果的な食品であることが明らかとなった」と語り、今後の展開に期待を寄せた。

不二製油グループでは、乳製品をはじめ幅広い加工食品向けにDHA/EPA含有機能性油脂「プロレア」の提案を進め、おいしさと健康機能を有するDHA強化食品の開発をサポートし、健康寿命の延伸に貢献していく方針だ。

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