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2025 / 12 / 29 月曜日
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逆光線(コラム)誰にも起こり得ることとして

誰にも起こり得ることとして

自動車による死傷事故が相次ぎ報じられている。多くの場合、主因が運転者の不注意にあることは明らかだが、そこに非難が集中することで見えなくなっているものはないか。加害者の側も、当事者でなければ同じ非難を口にしたかもしれない。

▼第三者が事故加害者の不注意を責めるとき、大前提は「自分ならこんな事故は起こさない」という無根拠な自信だ。だが運転中は常に完璧に注意を払っていると断言できるドライバーはいるだろうか。誰もが加害者になりうるとの視点で、人間の意識だけに頼らない安全の仕組みを作ることが必要だ。

▼薬物依存にも同様のことがいえる。依存症の大半は患者本人の意思では脱却できないという。再犯防止には適切な治療の継続が必須だが、摘発された著名人に世間が第一に求めるのは本人の謝罪や逮捕、実刑、そして社会的制裁である。

▼人間は不完全な存在であり、個人の境遇は運に左右される。その行為も、複雑で予測不能な因果関係の結果としての面が大きい。それを忘れることで不都合をこうむるのは、われわれが暮らす社会全体だ。

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