逆光線(コラム)海の日に思うこと

海の日に思うこと

 幼い頃に家族で潮干狩りに行った。楽しみながらも、競うように砂浜のあちこちを掘り返したものだ。あらかじめ獲っておいたアサリを撒いているだけらしい、と聞いたのはずいぶんと後になってからである。

▼先月、取材で桑名市にうかがった。「その手は桑名の焼き蛤」でお馴染みのハマグリだが、一時は絶滅も危惧されたという。開発が進み、ダムや堰ができたことで環境が変化し、昭和40年代をピークに漁獲量が急激に減少。赤須賀漁業協同組合を中心に、貝が繁殖しやすい環境づくりなどを長年にわたり取り組んできたことで、現在では漁獲量が回復しつつあるという。

▼同組合は今でも稚貝の養殖を行い、行政との連携や情報発信にも余念がない。一方で、別の問題が出てきたという。ハマグリが獲れると聞きつけてやってくる密漁者が後を絶たないそうだ。

▼おいしい「食」は決して当たり前のものではなく、多くの人の努力によって支えられている。密漁の禁止を呼びかける、蛍光色ののぼりが干潟に悲しくはためいていた。

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