サンクゼール「久世福商店」初の小型店 14坪で新客層を開拓

サンクゼール(本社・長野県上水内郡)は7月19日、東京都町田市の町田マルイに久世福商店の小型業態1号店をオープンした。従来店の半分以下の売場面積に限定商品も展開し、新たな客層の開拓に挑む。久世良太社長は開店にあたり「この1号店を実験店として、郊外と大都市圏を両にらみで出店していきたい」と意気込みを語った。

久世福商店は、2013年のイオンモール幕張新都心店を皮切りに、7月18日時点で156店舗を展開している。これまでの出店地域は東京・神奈川・千葉・大阪が約3割で、その他が約7割。地方都市や郊外の大型商業施設を中心に拡大してきた。

「郊外の出店も続けるが、大型の商業施設は新規建設が少なくなっている。大都市圏は出店需要が高まっており、試算では小型業態で出店可能なターミナル駅などが150ほどある」と久世社長は話す。

さらに「初出店から10年間でお客様のニーズが変化してきた」とし、ファン会員へのインタビューやアンケート、店頭での聞き取り結果から、「特に大都市圏で、帰宅前の購入やご家族への手土産、ちょっとしたギフトの需要が高まっている」と分析。小田急百貨店町田店で従来店を運営しているが、通勤・通学の経路に立地する新店は、変化したニーズに応えられると判断した。

新店では、出店先である町田マルイの客層に合わせて新たな顧客ターゲットを設定。従来店の40~60代女性から20~30代女性に変更した。客層に近い女性スタッフ4人が中心となり、開店まで1年ほどかけて新店のあるべき姿を模索した。

新店のテーマには和食の基本である「豆」を据えた。内装の基調色を従来の黒から白に変更し、特別な什器も用意。カジュアルな印象に刷新した。

久世良太社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
久世良太社長

従来店の売場面積は30~40坪だが、新店は14坪。SKUを通常店の約1千から売れ筋を中心とした約300にまで絞ることとなったが、新店限定の商品を多数開発することで品揃えの魅力を補った。

共働きなど多忙なユーザー向けに、1包売りのドリップ式だしバッグ「雫だし」を開発。具体的な飲用シーンをパッケージで提案し、新規顧客の買いやすさを高めた。

アップサイクル商品の「久世福の、もったいない。」シリーズは「ウェルビーイング」へのニーズに応えるもの。製造過程で処分せざるを得なかった原料を活用し、メーカーも喜ぶ開発を心がけた。

「手軽さ・便利さ」を望む声には、八女茶のハーブティーなど1包売りシリーズの拡充で対応する。商品とラッピングをセルフで選べるギフトコーナーを設け、プレゼント需要を満たす仕掛けも整えた。

客単価は通常店1千900円に対し、新店は1千円~1千200円を見込む。

久世社長は2店目以降の計画は未定としつつ、「出店戦略にしっかりと組み込みたい」と語った。