令和8年産がデビューとなった新潟米の新品種「なつひめ」。8月中旬に収穫する極早生(ごくわせ)だが、それを原料米100%に雪椿酒造(新潟県加茂市)が純米大吟醸酒に仕込んだ。商品名は「新品種・新米・しぼりたて」にちなんで「し・し・し」。仕込みを担当した入社3年目の蔵人・青木帆南さんは「『なつひめ』の名前にふさわしく華やかで甘みのある味わい。年末年始に家族・友人らと楽しく飲んで欲しい」とアピールした。
雪椿酒造の鈴木一陽社長によると、既存のラインアップになかった新酒・しぼりたての商品化を模索していたところ、地元新潟で新品種の米が開発されているとの情報を入手。しかも極早生であることから「年内に新酒を発売できる。新品種登録後の初年度であることも魅力的。商品化に挑戦しよう」(鈴木社長)とのアイデアに至った。
新商品「し・し・し」の裏テーマには、タンク1本の仕込みを若手蔵人・青木帆南さんに任せたこともある。新品種「なつひめ」にちなんだ「姫」であること、“新人”に由来したもう一つの「し」であることなどストーリー性にこだわった。

飯米としての「なつひめ」は、大粒でしっかりした旨みや食感が特長。ただし酒造りに使われるのは初めてで、「五百万石」などの酒造好適米とは勝手が違う。青木さんも仕込みには試行錯誤の日々を重ねた。
9月7日に洗米を開始。理想の吸水率にこだわり、酒米なら1分程度の浸漬時間を「なつひめ」は約10分かけて行ったという。米麹造りの種付けは初めて一人で担当し、誕生日の年越しは麹当番の泊まり込みで過ごした。発酵時は丁寧な温度管理を徹底。データを毎日分析し、思い通りの数値でない時は先輩の飯塚泰一杜氏らにアドバイスをもらって微調整。10月19日の上槽にこぎつけた。
「なつひめ」を生産したひだまり農産の川村学代表取締役は「新品種を純米大吟醸に醸していただき雪椿酒造社には心より感謝している。『なつひめ』が持つ新たな可能性を生産者と酒造会社がともに広げていけることを期待している」と話した。
「し・し・し」は1300本限定販売。4日から東京・銀座の「新潟情報館 THE NIIGATA」で先行販売し、7日から新潟県内の酒販店、雪椿酒造の公式オンラインショップで販売。精米歩合50%、アルコール度数16%。内容量720ml、価格は1980円(税込)。
