「事業には波があり、落ち込んだときには落ち込みを小さくして早く立ち上がる。その努力をやり続けることが大事」――。
6月、取材に応じたサントリービバレッジ&フードの木村穣介社長はこう述べ、日本で実践しているアジャイルな対応をアジア・オセアニア・欧州・米州の海外セグメントに水平展開していることを明らかにした。
「バリエーションの先進国は日本。海外でもバリエーションが徐々に広がっている。アジアでは当社製品売上の9割以上をペプシ社製品が占める中、お茶も増え、3月にはタイでハイドレーションの『SUNTORY Hy! WATER LOCK』を新発売した。砂糖税導入を除き日本で起こっていることが海外で順番に起こっており、しっかり対応していくことが大事」と語る。
「SUNTORY Hy! WATER LOCK」は、日本の「GREEN DA・KA・RA」の知見を取り入れて開発された。
バリエーションという点で、日本は一日の長があると捉えている。
「多彩な商品を手掛けてきた日本での経験が強み。国ごとに現場のニーズを把握してそれを商品化することと技術が一体化するといろんなことができると考えている」との見方を示す。
日本並みのスピード感も移植する。
「強みを活かしてアジャイルにやっても一回では絶対に当たらない。ぐるぐると回すことが肝心。日本では新商品は発売1、2カ月後には結論が出ているのに対し、フランスでは18カ月後だったりする。仕事のやり方もアジャイルにやり直せるように現地の働き方の価値観に合わせながら、働き方や評価方法などを全て変えていかないといけない」と説明する。
現在、各国の仕事のやり方を改善すべく、専門部署が飛び回っている。
「(専門部署には)『現地のメンバーと伴走していこう』と伝えている。『やってみなはれ』のサントリーウェイを各国の民族や文化に合うように翻訳して定着させていくことが仕事だと考えている」と述べる。
同社は、コアブランドイノベーションの推進などによるオーガニック成長とM&Aなどによる非連続成長を軸足に取り組み、質の高い成長を目指している。
オーガニック成長に向けては、本社が日本・アジア・オセアニア・欧州・米州といった海外セグメントを引っ張るトップダウン型の経営ではなく、世界各地の好事例を水平展開していくことに重きを置く。日本は、グローバル展開のハブ機能としての役割も担っている。(つづく)
