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「金ちゃんヌードル」現金1万円プレゼント 「1万円だから値打がある」 30年続く夏の風物詩 徳島製粉

 徳島製粉が毎年2月末から7月末まで実施する「現金1万円プレゼントキャンペーン」が、今年30周年を迎えた。主力商品の「金ちゃんヌードル」に添付された応募シールを集めて応募すると、毎月500人、計2500人に現金1万円が当たる恒例企画。近年も年間約10万通の応募が寄せられるなど、同社を代表する消費者キャンペーンとして定着している。

 キャンペーンが始まったのは1997年。夏場に売上が落ち込むカップ麺市場の需要喚起策として、創業者の田中殖一氏が立ち上げた。当時は、流通向け販促などと合わせた「三本柱」の施策の一つだったが、時代の変化とともに他の施策は姿を消し、消費者向けキャンペーンだけが30年間変わらず受け継がれてきた。

 長年続ける中では、当選金額を3000円や5000円に下げ、その分当選者数を増やしてはどうかという意見も少なくなかった。しかし、創業者は「1万円だから値打ちがある」と譲らなかった。その考えは今も変わらない。

 「会社のお祭りのようなもの。元気に事業を続けているというメッセージでもある」と話すのは、3代目の田中忠徳社長だ。創業者は88歳の米寿祝いを3年連続で開き、「いつまでやるのか」と得意先から苦笑されたほど祭り好きだったという。「お祭りを大切にする人だった」と振り返る田中社長にとって、このキャンペーンもまた、会社を象徴する年中行事の一つなのである。

 キャンペーンの役割も、この30年で変化した。当初は夏場の販売対策が主目的だったが、現在では「日頃の愛顧への感謝を伝える場」という位置付けが強い。地域や社会への貢献を重視する企業理念のもと、利益追求だけではない取り組みとして継続している。

 応募状況も時代を映す。開始当初は応募が少なく、6人家族のうち5人が当選したこともあったという。それがピーク時には13万~15万通に達し、近年でも約10万通を維持している。一方で、コロナ禍以降はやや減少傾向にある。物価高による郵便料金の値上げに加え、他社キャンペーンでデジタル応募が一般化する中、同社は「あえて、はがき応募のみ」を続けていることも一因とみられる。

 それでも、はがきにこだわる理由がある。応募用紙の余白には、「金ちゃんヌードルがおいしかった」「これからも頑張ってください」といった感想や応援メッセージが数多く寄せられる。そうした声は社員の励みとなり、消費者とのつながりを実感できる貴重な機会にもなっている。

 30年間の応募データからは、販売エリアの変化も見えてきた。かつては西日本が中心だった応募が、現在では東日本へと着実に広がっている。営業活動を通じた市場開拓の成果が、応募エリアという形で表れている。

 では、応募数が減り続けたらこのキャンペーンは終わるのだろうか。

 田中社長は少し考えた後、こう言い切った。

 「極端な話、『最後の1人になっても続けるのか』という話になるかもしれない。でも、当選者数を2000人に減らして続けるくらいなら、やらない方がいいと思っている」。

 30年間守り続けてきたのは、現金1万円という金額だけではない。変わらぬ価値を届け続けるという姿勢そのものが、このキャンペーンを支えているのかもしれない。

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