三菱食品の伊藤和男社長は6月1日、4月の社長就任後、初となる決算説明会に臨み、経営計画「MS Vision2030」で成長戦略と位置付ける「デジタル活用」「新たな需要の獲得」に向けた取り組みを加速させる方針を示した。
同社の前期業績は売上高2兆1230億円(0.1%増)、営業利益329億円(4.1%増)、経常利益359億円(7.9%増)、当期利益239億円(3.2%増)。
主力の卸売事業に加え、物流事業やデジタルマーケティングなど機能開発事業が好調に推移。卸売事業における業務効率化と収益拡大が寄与し、5期連続で最高益を更新。4期連続でベースアップも実現した。
伊藤社長は社長就任の抱負として「外部環境の変化が激しい時代だが、三菱商事グループの経営資源を最大限に活用し、スピード感を持って経営計画を着実に進める」と語り、成長戦略の具体的な取り組みとして「デジタル活用」「新たな需要の獲得」を挙げた。
「デジタル活用」では、DD(データ×デジタル)マーケティングやAI活用など自社の取り組みにとどまらず、業界横断の荷主連合による共同配送コンソーシアム「CODE」、日清食品との商流・物流データの連携など、食品流通業界の生産性向上と持続可能なサプライチェーン構築に向けた取り組みが本格化している。
昨年度には業界に先駆け、基幹システムのフルクラウド化が完了。柔軟性と処理効率の飛躍的向上により、AIエージェントの活用や業務プロセスの高度化を通じた、さらなる生産性向上と新たな価値提供につなげる。
データとAIを活用した店舗単位の品揃えや棚割り提案、DDマーケティングによる新たな買い物体験、小売業・メーカーの課題解決の成功事例は、今月末から開催するダイヤモンドフェアでも披露する。
「新たな需要の獲得」では、日本食文化の輸出を柱にASEAN・米国・欧州での海外戦略を加速。三菱商事グループの経営資源を活用し、現地パートナーとの協業も広がっている。
ASEANでは、最大手の食品・消費財ディストリビューターであるDKSHと三菱商事の戦略的業務提携により、日本食品の流通プラットフォーム構築を推進。DKSHはASEANの大手小売業から個人商店、フードサービス、ECなど約50万店をカバーするネットワークを有しており、三菱食品の商品調達力や低温物流ノウハウを組み合わせることで販売拡大につなげる。
米国では、三菱商事が資本参加するアジア系EC事業者Yamiと連携し、多種多様な消費者ニーズに応える「アジア系商品の北米ポータル」構築を目指すほか、イートアンドHDとの合弁会社による「大阪王将」米国1号店がロサンゼルスのソーテル(リトル大阪)にオープン。餃子を主役とする体験型店舗として、日本発の食体験を世界に広げる。
欧州では、英国・ドイツで食品卸事業を展開するJFE社に出資。現地に経営人材も派遣し、パートナー企業との取り組みによる欧州への輸出拡大と、日本食の販売基盤確立を目指す。
伊藤社長は「三菱商事グループとの連携を深め、様々な分野で可能性を広げていきたい。海外事業に限らず、国内でもAIやテクノロジーの活用など、お客様への新たな機能提供を進める」と意気込みを示した。




