全国清涼飲料連合会(全清飲)の森本真治専務理事は6月19日、新専務理事就任説明会に臨み、様々な諸課題に対応していく中で、ペットボトル(PET)のボトルtoボトル(BtoB)水平リサイクル率向上を取り組み課題の一丁目一番地に掲げる。
「特に課題である事業系ルートで回収されるPETについては、業界でしっかり啓発活動を行い、象徴的なロケーションでしっかりと消費者にご理解いただけるようにする。(専務理事就任期間は)重要な3年になり、ある程度しっかり道筋をつける」と森本専務理事は意欲を示す。
PETボトルリサイクル推進協議会によると2023年度の業界でのBtoB水平リサイクル比率は33.7%。本数換算ベースで3本に1本が新しいPETに再生されている。
この33.7%を2030年までに50%へ引き上げていく目標を全清飲は掲げている。

BtoB水平リサイクルを今後推進する際の課題としては、事業系ルートから回収される使用済みPETの回収時の品質向上にある。
例えば、街中のリサイクルボックスに飲み残した使用済みPETを投入されてしまうと、液体を運ぶことになり、余計なエネルギーを使って分別しないといけなくなり効率が悪くなる上に、リサイクル工場のライン設備の錆びや故障にもつながってしまう。
自治体を通じた啓発活動は、PET100%有効利用委員会を通じて全清飲の消費者調査の定量目標をKPI(目標達成に向け日々の業務を評価するための数値指標)として活用。
定量目標の1つとして、現在55.7%のBtoB認知率を2027年に65.0%へと引き上げることを掲げる。

経済産業省・サーキュラーパートナーズ(CPs)の「清涼飲料用PETボトル循環WG(ワーキンググループ)」については継続して参画していく。
企画部の中澤友彦部長は「WGにはリサイクラーさまやPETボトルリサイクル推進協議会さまにも入っていただき、きれいなPETを回収してBtoBを回していくことをやり抜いていく。BtoBがCO2排出削減につながることもWGを通じて世の中に発信していきたい」と語る。
啓発活動は、人口の多い東京23区・主要空港・瀬戸内隣接県の3つに照準に合わせる。
この中で東京23区での活動の進捗について、同部の松沼孝副部長は「今、葛飾区は区長自ら率先してボトルtoボトルを発信していただいているという点で有難く、“葛飾区モデル”を全区に広げていきたい。現在、江戸川区、港区、大田区、北区にアプローチしている」と説明する。

事業系ルートと直結するリサイクルボックスの啓発にも取り組む。
自販機部の山下裕章部長は「“リサイクルボックスはゴミ箱でない”ことを伝えるため、5月には横須賀市庁舎に動画を放映し、練馬区役所庁舎にはパネル展示を共同で実施した」と振り返る。
空き容器を下から投入して異物混入を防ぐ新機能リサイクルボックスについては、使用済みPET以外の異物混入削減効果が継続しているか否か、繁華街・住宅地などロケーション別の効果などを今後調査していく。
自販機でのPET飲料の販売を排除する自治体の動きに対しては、啓発パンフレットを送付しているほか、自治体を訪問して飲料業界のPETリサイクルの取り組みを説明し是正を促している。
技術部では、WHO(世界保健機関)、IARC(国際がん研究機関)、コーデックス(食品の国際規格)委員会などの動向に注視し、ICBA(グローバル全清飲)と連携して国際情報の早期収集に取り組みリスクを予見。
技術部の横尾芳明部長は、4つの重点課題のうちの1つマイクロプラスチックのレピュテーションリスク防止対応に触れ「極めて分解しにくい安定度の高いPETがマイクロプラスチックの代表例に挙げられるような正しくない理解を正していくよう対応を進めている」と語る。


