進化する中食惣菜

中食惣菜の市場拡大が続いている。「惣菜白書2024年版」によると、23年の惣菜市場規模は10兆9千827億円、前年比4.9%増と伸長した。新型コロナウイルスの影響で20年に一時10兆円を割り込んだが、その後は3年連続のプラス成長を達成。11兆円の大台に迫る規模に拡大した。

▼スーパーやコンビニ惣菜だけでなく、人流の回復によりデパ地下やエキナカの惣菜売場も活況だ。中食と外食の垣根はなくなり、テイクアウトやデリバリー、市場拡大が続く冷凍食品も含め、食の外部化と簡便調理の流れは加速している。

▼コロナ禍をきっかけに惣菜売場の中身も大きく変わった。揚げ物主体だったスーパーの惣菜売場は、米飯やサラダ、寿司、焼き魚、ピッツア、スイーツなどバラエティ豊かなメニューが並び、来店客を惹きつける。

▼食品ロス削減や環境配慮の観点から、日持ち延長と品質向上を両立した惣菜商品の開発も進む。人手不足やコスト高が永遠の課題だが、値上げの浸透とともに、消費者ニーズに対応した価値アップの取り組みが市場拡大を支えている。