12.8 C
Tokyo
11.4 C
Osaka
2025 / 12 / 18 木曜日
ログイン
English
トップニュース家庭用チーズ市場 3度値上げで消費減退 コスト環境も厳しさ続く

家庭用チーズ市場 3度値上げで消費減退 コスト環境も厳しさ続く

2023年度上期(4~9月)の家庭用チーズ市場は、売上高が前年を上回って推移した一方で、昨年の春以降3度にわたる価格改定(容量変更含む)を実施した結果、物量ベースでは二ケタ減と大きく落ち込んだ。輸入原材料コストは昨年ピーク時からは軟化傾向にあるものの「相場が落ち着いてきたから値下げするかと聞かれるが、とてもそんな状況ではない」「当初想定していたよりも円安が相当進みストレートで響いてくる。輸入原料が下がっている実感はない」(大手乳業メーカー)などの声が聞かれ、エネルギーや包装資材など原料以外のコストも高止まりしていることから依然厳しい状況にある。

成長と踊り場を繰り返してきたチーズ市場は、2022年に入り状況が一変した。国際情勢の悪化で輸入原料チーズが急騰し、包装・資材、原油価格高騰による物流費やエネルギーコスト上昇などを背景に大手NBメーカーが1度目の値上げに踏み切った。

その後も急激なコスト上昇に値上げが追い付かず、円安の追い打ちもあった結果、22年4月と9~10月、23年4月と1年で3度の値上げを実施した。

足元では、昨年オセアニアがt当たり初の6千ドル超えとなった時に比べればピークアウトしているものの、国際的な乳価自体は上がっており、ウクライナ情勢や中国の経済状況、為替の円安などを含め不透明な環境が続く。

「これ以上乳価が下がるかでいえば、おそらく下がってこない」(雪印メグミルク)、「原料コスト自体は徐々に下がってきてはいるが、為替が円安に振れていることもあって依然高い水準」(森永乳業)、「輸入原料はこれまで上がっていたのが上がらなくなっただけで、高止まりの状態」(明治)。

こうした状況下3度の値上げを実施したが、相次ぐ食品値上げや物価上昇を背景に、チーズの購入数は減少。さらに内容量変更を含む価格改定の影響もあって、日々口にされているチーズの量は着実に減っている。

売上ベースでは二ケタ伸長したシュレッドチーズについても、容量ベースでは二ケタ以上落ち込んでいることから、今後は「新しい需要を創造して、物量を引き上げていく、チーズ自体の需要を拡大していくことをやっていかないといけない」(雪印メグミルク)というように、消費回復が業界共通の課題となっている。

関連記事

インタビュー特集

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。