酪農乳業の専門紙誌8社で組織する酪農乳業研究会は、「2023年酪農乳業界重大ニュース」を選定した。
2023年も、酪農乳業界を取り巻く環境は厳しかった。世界的な需要拡大などの影響で、海外乳原料をはじめ原材料価格が引き続き上昇し、原油価格の高騰で物流コストや包装材価格も上昇。
国内では飼料価格の高騰など生産コストが酪農経営を圧迫するなか、離農者が増加する「令和の酪農危機」の状況に陥った。将来にわたる酪農生産基盤の存続に向け、乳価改定に伴う製品の価格改定や、新たな付加価値商品の開発、消費者の理解醸成に向けた活動など業界一丸で取り組んできた。
厳しい環境のなか、猛暑の恩恵を受けたアイスクリーム市場は23年度も6千億円も視野に入る勢いをみせるなど、一部で明るいニュースもあった。
重大ニュースは次の通り。
①相次ぐ乳価引き上げ、酪農生産基盤の存続に向け
②「令和の酪農危機」生産者の離農加速
③牛乳乳製品値上げの影響で需要減退、物量回復が課題
④牛乳の適正な価格形成に向け、農水省が議論開始
⑤脱脂粉乳とバターの需要不均衡拡大
⑥23年度アイス市場、過去最高の6千億円を視野に
⑦チーズ総消費量、3年連続で減少
⑧生乳流通事業者が初の情報交換会議開催
⑨乳業界にもプラントベースフードの波
⑩需要喚起に全力、消費拡大イベントが活発化