日清オイリオ久野社長 食用油市場の成長拡大へ 価値向上施策を継続

日清オイリオグループの久野貴久社長は、このほど開催した決算説明会で国内ホームユース(家庭用食用油)の取り組みについて「厳しいコスト環境が続き、物価高による節約志向も強まっているが、継続的な価値向上の仕掛けにより国内市場の成長を目指していく」との考えをあらためて示した。

同社によると今上期の家庭用食用油市場は約910億円。原料コスト高に伴う価格改定の影響やオリーブオイルの原料高騰により、物量は前年を下回ったものの、金額ベースでは前年を上回り、上期の市場規模としては過去最高を更新した。

一昨年からの構造的な油脂原料の高騰と円安の進行、物価高による生活防衛意識が高まる中で、クッキングオイルの構造改革や付加価値品の拡販が奏功。主力のクッキングオイルでは、汎用品の値上げ局面において、低吸油タイプの新たな機能を付加した「日清ヘルシーオフ」が単品№1商品に躍進。「健康価値や少量で調理できる機能性など、お客様のニーズに対応した多様な商品提案を進めてきた」ことがクッキングオイル市場の安定化に貢献した。

また、食用油の新たな使い方を広げる、かけるオイルで500億円市場の形成を目指しており、付加価値油は今上期も103%と好調に推移。19年度では1・3倍と着実な成長を続けており、かけるオイルや味つけオイルの提案をさらに強化していく方針。

最近では若い女性層を中心にMCTオイルの需要が拡大しており、認知率は6割まで上昇し、市場拡大が続いている。機能性表示食品の「日清MCTオイル」は新たなヘルスクレーム(日常活動時の脂肪の燃焼を高める)を活用し、食用油売場での提案を強めるとともに、菓子や飲料など加工食品メーカーや流通と連携したMCT関連商品の展開を強化。高齢者の低栄養・フレイル対策としてのMCTの活用もさらに広げる。

こうした中で下期に向けて、原料高騰が深刻化している「オリーブオイル、ごま油の価格改定が課題となる」と指摘。オリーブオイルについては、スペインの干ばつによる2年連続の不作で相場が高騰しており、日清オイリオでは10月から再度の価格改定を実施。ごま油も年明け1月からの値上げを発表しており、「新たな価格帯の実勢化を進め、需要の維持・拡販に向けて、メニュー提案などの施策をしっかりと実行していく必要がある」と語った。

特にオリーブオイルは原料状況が悪化しており、大幅な値上げが避けられない中で、「(物量への影響も予想されるが)BOSCOシーズニングオイルなどもうまく活用しながら、オリーブオイルの使用シーンを広げていきたい」と述べた。