8.9 C
Tokyo
13.3 C
Osaka
2025 / 12 / 08 月曜日
ログイン
English
飲料系酒類炊飯器開発で余ったごはん クラフトビールに変身! 象印が商品化

炊飯器開発で余ったごはん クラフトビールに変身! 象印が商品化

炊飯器メーカーでは、開発過程で炊飯と試食を繰り返し、おいしいごはんの炊きあがりを追求する。だが、どうしても食べきれない分はどうなるのだろうか。

業界大手の象印マホービンは従来、試験炊飯で余ったごはんをすべて堆肥化していた。だが、社内では「もったいない」として課題になっていたという。そこで一昨年には、その一部から精製したエタノールを使った除菌ウェットティッシュを商品化。企業のノベルティ品向けなどに販売している。

今回、この取り組みがさらに前進。余ったごはんを原料の一部としてアップサイクルしたクラフトビールを商品化した。その名も「ハレと穂」。「一滴への想い、一粒への想い」をコンセプトに、ごはんを最後まで大切にしたいとの思いから生まれたサステナブルなビールだ。ハレの日の乾杯シーンで楽しんでもらうため、ごはんから作られたビールであることをネーミングで表現している。

フードロス削減に取り組むシンガポール発のスタートアップ企業クラストジャパンの提案を受け、クラフトビール醸造で評価の高い伊勢角屋麦酒(三重県)とのコラボにより開発。原料である大麦麦芽の一部をごはんに置き換え、白ブドウ果汁も加えてすっきりフルーティな味わいに仕上げている。

「象印食堂」のメニューとともに
「象印食堂」のメニューとともに

製造元の伊勢角屋麦酒で開発を担当した山宮拓馬氏は「コメでビールを造るには専用の設備が必要なことなどから、これまでほとんど経験がなかった。今回の話も最初は『難しい…やりたくない』と思ったが、シミュレーションを重ねてプログラムを組み、仕込みに至ることができた」と苦労を語った。

象印マホービンの新事業開発室・栗栖美和氏によれば、試験炊飯で炊くごはんは年間30tほど。

「今回の製品でウェットティッシュの10倍くらいの量を使えるようになったが、それでもアップサイクルに使えているのはまだ全体の数%程度」といい、ユーザーの反応を見ながら今後の取り組みを検討したい考えだ。

「ハレと穂」(330㎖、希望小売価格660円)は6月21日発売。同社が運営するレストラン「象印食堂」でよく合うメニューとともに提供するほか、伊勢角屋オンラインストア、首都圏のイオンリカーの店舗などでも販売している。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。