トップニュース家庭用冷凍麺 23年、再成長への試金石 パスタ・ラーメンに期待

家庭用冷凍麺 23年、再成長への試金石 パスタ・ラーメンに期待

2023年は、家庭用冷凍麺市場のさらなる成長余力を占う試金石になりそうだ。

業界調べによると、マーケットはほぼ一貫して拡大し、特にコロナ禍以降の3年間で約2割も拡大した。内食化傾向で簡便性とおいしさの認知が向上し、ユーザーの間口が広がった効果が大きい。とはいえ、昨22年度は価格改定の影響で販売数量が伸び悩み、金額ベースで2~3%増と近年では小幅な伸びにとどまった。23年は「物価高」「外食復調」など取り巻く環境の変化が激しいなか、冷凍麺は「パスタ」と「ラーメン」が再成長のカギを握ると予想される。

冷凍の個食パスタは、過去10数年で約3倍に拡大した。昨22年は600億円規模(インテージ「SRI+」「SCI」データより業界推計、以下同)。加工食品業界を見渡しても、近年これだけ急成長したカテゴリーは珍しい。

草分け的存在の日清製粉ウェルナ(22年1月に日清フーズから社名変更)によると、1993年春から市場開拓にチャレンジ。当初は認知度がないため苦戦続きだったが、95年頃から徐々に浸透し、99年には今に続くヒット商品「ソテースパゲティ ナポリタン」が誕生、スーパーなどの冷凍食品売場で定位置を確保した。その後の快進撃は広く知られるところ。メニュー・サイズ・価格帯のバリエーション展開が加速し、年を追うごとに店頭でパスタコーナーが拡大した。

「原動力には共働き世帯の増加も大きい。社会環境の変化により、簡便でおいしく、コストパフォーマンスに優れた冷凍パスタのニーズが高まった。東日本大震災やコロナ禍を機に購入経験率が上昇した経緯もある」(同社)。

一方、23年の見通しについては「(コロナ禍の収束で)在宅勤務時のランチ需要は減るかもしれないが、誰もが手軽にレンジ調理で食べられる製品価値は広く浸透している。子ども向けの買い置き需要増などを見込む」と話す。

冷凍ラーメン類のマーケットサイズ(汁なし含む)は約345億円とみられる。パスタに規模では及ばないものの、3年前比で1.4倍(約100億円増)、5年前比で1.7倍(約140億円増)とここ数年の伸びは目覚ましい。かつてはマルハニチロ「新中華街 横浜あんかけラーメン」、ニッスイ「わが家の麺自慢 ちゃんぽん」など一部のロングセラーが主力を形成していたが、キンレイがヒット商品「お水がいらない」シリーズで間口を広げ、近年は日清食品冷凍が「冷凍 日清本麺」「冷凍 日清ごくり。」など複数の新ブランドを立ち上げた。昨年、ニチレイフーズの「冷やし中華」が話題を集めたことは記憶に新しい。

今後の展望について、上位メーカーの企画担当は「冷凍食品売場のラーメンは、パスタやうどんに比べて生活者の認知度が低い。まだ黎明期と考えており、長期的な成長途上にある」とコメント。「引き続き新商品やプロモーション施策を積極的に投入することで、ユーザーの間口をさらに拡大できる」と話す。

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