災害に備え「アルファ米」体験 昭和女子大生と外国人学生 尾西食品

地震など自然災害が多発する中で、日米の学生が言葉の壁を乗り越えて防災食品を調理することで非常時の備え意識を高めようと2日、東京都世田谷区の昭和女子大学で防災備蓄食品「アルファ米」の体験授業を開催。防災食トップの尾西食品(東京都港区)と老舗防災用品卸の西谷(山形県山形市)が講師として登壇した。

昭和女子大学では国際学部などを中心に、グローバルコミュニケーションの一環として様々な取り組みを行っており、当日は国際学部英語コミュニケーション学科の重松優ゼミに、同じ敷地内にあるテンプル大学ジャパンキャンパスの日本在住または滞在中の外国人学生を招き、日米の学生がアルファ米調理を体験し、防災の重要性を学んだ。

体験授業では、尾西食品のアルファ米を使った「五目ごはん」や「ドライカレー」「携帯おにぎり」を調理。テンプル大学の学生は、アルファ米の作り方の説明を聞きながら、見よう見まねで調理を実践。袋の開封位置やお湯の量などを訪ねながら、15分でアルファ米を仕上げた。お湯の量や戻し時間などを何回も聞き直しながら、初めて体験するアルファ米に驚きの様子で、できあがったアルファ米をスプーンを使って試食。各人がおいしいと感想を述べたが、中でもドライカレーが一番人気だった。お湯だけでできる「携帯おにぎり」を袋の上から押さえ、パッケージ写真にそって三角形に整える方法を教わり、驚きを隠せない様子だった。

近年は気候変動による自然災害が増加し、防災への関心は世界的に高まっている。今回の授業では、地震や洪水など自然災害が多発する日本において、隣接する2つの大学の学生が日米それぞれの視点で議論を交わし、いつ起こるかわからない自然災害への備えについて学んだ。

楽しく学んで自然災害に備えを(昭和女子大学/尾西食品/西谷) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
楽しく学んで自然災害に備えを(昭和女子大学/尾西食品/西谷)

授業を終えて重松専任講師は、「アメリカでも台風が多発し、高潮被害も発生している。心ある学生の防災への意識は高いはずだが、非常食への意識は日本より低いと思われる」とし、今回のようにアルファ米を体験しながら災害への備えについて日米の学生が英語でディスカッションすることは有意義だと認識。「海外からみれば、缶詰があるから大丈夫だと思われがちだが、海外の人にもアルファ米の作り方を丁寧に説明すれば受け入れられる」と語った。さらに「アレルギー対応やヴィーガン対応、ハラール認証の商品はポテンシャルがある」と重松氏。「お米なので食べやすく、アウトドア用としても需要がある。ここでは普段使いができることがキーワードになると思う」などの意見があった。

また、尾西食品の栗田雅彦広報室長は、「今年3月は東日本大震災から12年経ち、来たる9月は関東大震災から100年目の節目の年にあたる。年月が経つにつれて記憶が薄れつつあるが、災害が起きないと言われた場所でも実際に地震が発生し、今までの経験は通用しなくなっている。今回のアルファ米体験授業を通し、改めて備えの意識を高めてほしい」と語った。