酔鯨酒造が50周年 京都にファン集う 「日本酒を世界の食中酒に」大倉社長

酔鯨酒造(高知市)は11月に「酔鯨純米大吟醸 DAITO2022」(720㎖、2万2千円税込)を発売する。これに先立ち、15日、京都市のフォーシーズンズホテル京都で新作発表会を行った。「DAITO」は同社が毎年、限定販売する最高級酒で、各界アーティストとのコラボレーションによるパッケージが注目されている。50周年を迎えた今年は、俳優の山田孝之氏がプロデューサーを務める空間演出ブランド、FORIEDGE(フォリエッジ)とコラボ。山田氏が酔鯨酒造を訪れ、試飲した際に受けたインスピレーションを元にパッケージを監修した。

酔鯨酒造の商品開発担当・江口大介氏は「当社の醸造技術をすべて駆使し、五味と吟醸香のバランスとの両立に気を遣い醸した。『DAITO』でハレの日をさらに豊かにしてもらいたい」と述べた。販売本数は約1千200本、このうち50セット限定で「フォリエッジ」のグラスとのセット品を販売する。

また、この日は新商品の発売を記念し3年ぶりに「Drunken Whale Banquet」を開催。約70人の酔鯨ファンらが参集し、日本を含む世界5か国の料理と酔鯨5種類のマリアージュを味わった。

大倉広邦社長は「われわれは世界の人々に、日本酒を食中酒として楽しんでもらいたいと考えている。和食でも、イタリアンでもワインと同じように飲んでもらえることを少しでも実感していただきたい」と強調。50周年を迎えた思いなどを次の通り語った。

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日本酒業界はもともと厳しく、市場は毎年3~5%減り続け、コロナ禍では10%以上の落ち込みとなった。一升瓶の在庫がどんどんたまり、廃業されるお客様や同業社も多かった。その中で、国酒を失くしたくないという思いで何とか乗り切ってきた。どうすれば皆さんに飲んでもらえるかを真剣に考え「Enjoy SAKE Life」を掲げ、日本酒の絵本を出したり、慣れないYouTubeで情報発信したりと、直接会うのが難しい中、日本酒の良さを伝えてきた。

そして今年、ありがたいことに50周年を迎えることができた。私の祖父の代で生まれ、最初は地区だけのお酒を造る蔵で返品も多かったが、あきらめずに品質を高め現在では高知から四国、四国から全国、さらに世界へ向けて広がっている。ようやくリアルなイベントも開かれるようになった。今回は日本酒と料理だけでなく空間、音楽とのマリアージュも合わせて楽しんでもらいたい。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)