生乳廃棄の危機、なんとか乗り越える 日本乳業協会常務理事 本郷秀毅氏

6月1日は「牛乳の日」、6月は「牛乳月間」だが、一般社団法人日本乳業協会は1日、都内の会場で一般消費者向けのセミナー「おいしいミルクセミナー公開オンライン~10代からの体力アップにミルクのチカラ!」(Jミルク、中央酪農会議共催)を開催した。主催者を代表してあいさつに立った本郷秀毅常務理事は、昨年末以降、社会的に大きな話題となった生乳廃棄の危機問題、生乳受給の見通しなどについて、乳業者の立場から説明した。

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昨年末以来、テレビや新聞などで「生乳が余って捨てられるかもしれない」という報道をご覧になった方もいらっしゃると思う。酪農家の方が何年もかけて生乳増産に取り組み、ようやく効果が現れてきたところでコロナ禍が発生し、特に業務用の需要が大幅に減少。生乳生産が増加する一方、需要が減少する厳しい状況の中、学校が休みになる時期は飲用牛乳需要の1割強を占める学校給食用牛乳もなくなるため、想定を大幅に超える生乳が余るのではないかと予測された。

平時に生乳が余った場合、保存のきくバターや脱脂粉乳などの生産に仕向けられているが、工場の乳製品生産設備は平時に合わせて設置されているため、今回、その量が工場の処理能力を超えてしまい「生乳が捨てられてしまうかもしれない」という報道につながった次第だ。水道の蛇口を開けたり、閉めたりするように生乳生産をコントロールすることはできない。貴重な生乳を一滴もムダにすることがないよう(乳業メーカーは)乳製品工場をフル稼働させ、バターや脱脂粉乳などを生産してきた。

このような緊急時には、ご家庭などで牛乳乳製品を消費していただくことが一番の支えとなる。6月は季節的にも生乳生産が最大となるため、まだまだ油断はできないが、今回は(生乳廃棄の危機は)何とか乗り越えられそうな状況だ。

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