注目の健康食材「こんにゃく」 独自技術で進化へ奮闘の三代目 ナカキ食品・中村寿和社長

健康志向を背景に、低カロリーで食物繊維が豊富な「こんにゃく」が健康食材として注目を集めて久しい。コロナ禍で身体を気遣う生活が続く中、血糖値や血中コレステロールを下げる効果や免疫増強活性作用も広く知られるようになった。しかしながら、その独特の食感や匂いは、時に食べる者をして大きな障壁となる。1914年(大正3年)創業の老舗こんにゃくメーカー・ナカキ食品(愛知県稲沢市)は、そうしたこんにゃくのマイナス点を払拭することで、ワンランク上の健康食材に昇華させた。

同社では、こんにゃくの可能性を広げるため早くから冷凍食品への原材料提供や海外展開を視野に置いた取り組みなどを推進。こんにゃくの3大欠点といわれる「臭み」や「水っぽさ」「味染みの悪さ」を独自製法ですべて解消し、賞味期間も1年と長く保存できる商品開発に成功。無味無臭でどんな料理にも合う万能食材として、家庭用・業務用の双方で引きが強まっているという。こうした取り組みを先導してきたのが3代目となる中村寿和社長だ。

主力商品の「ナカキライス」や「ナカキヌードル」「ナカキラーメン」は、新製法を採り入れてさらに品質を向上。野菜をこんにゃくに練り込んだ「低糖質ナカキヌードル」(人参・ほうれん草・かぼちゃ)は、サラダメニューなどに彩りを添え、満腹感の高い1品に仕上げることができる。

また、20年には常温保存できるカップ麺「糖質カットナカキヌードル」を開発。これまでの日配・チルド売場だけでなく、ドライカテゴリーへと展開領域を拡大。食品スーパーの低糖質コーナーなどを中心に採用を広げている。

そうした同社商品だが、国内に比して海外での評価がより高い。低カロリー、低糖質、グルテンフリーなど、こんにゃくの持つ特性が美容や健康に気遣うユーザー、あるいはベジタリアン、ビーガンなどの支持を獲得。そうした多様性に富んだ市場背景ともうまくマッチした。

「日本の伝統食品であるこんにゃくの魅力を世界中に知らしめたい。そうした想いで乗り出した海外展開が軌道に乗ってきた。海外での成功事例を日本国内市場に逆輸入する形で、ナカキブランドの確立を目指したい」(中村社長)とする。

自社アンテナショップ「Kitchen Nakaki+」(名古屋市)は情報発信拠点、消費者との2WAYコミュニケーションの場であり、新商品・新メニュー開発における孵化器でもある。

「店頭でもさまざまな取り組みを行い、より満足度の高い商品を世に出していく。低糖質・糖質カットのヌードル、こんにゃく商品ならナカキ食品というイメージが高まっていけば良い」とする。