三菱食品の京谷裕社長は1日の第2四半期決算説明会で、「中経2023」の進捗と今期の取り組み概況を説明した。今月末には2年半ぶりとなる三菱食品「ダイヤモンドフェア2021」が開催予定。ウイズコロナ・アフターコロナを見据えた生活者意識の変化や、サステナビリティ、デジタルを軸に食品業界の課題解決につながる提案を披露する。
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10月から緊急事態宣言が解除され、アフターコロナを見据えた新しい生活へ暮らしと行動が大きく変わりつつある。一方で、第6波の到来も懸念され、依然予断を許さない状況が続いている。
今期からスタートした「中経2023」では、三菱食品が目指す在り姿として「食のビジネスを通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」をパーパスに掲げ、次世代流通業への進化(サステナビリティ重点課題の解決)を目指し、さまざまな取り組みを開始している。
コロナ禍で直接対話の機会は限られていたが、社長就任後の半年で全国4千人以上の社員と計24回のオンライン対話を実施。「中経2023」の目指すべき姿・価値観を共有し、全社一丸で目指す姿実現に向けた取り組みを進めている。
「中経2023」では、早期に着手・継続推進する「機能向上の取り組み」と、中長期的な視点となる「地域での取り組み」の2本柱で、具体的な取り組みを開始した。前者の「機能向上の取り組み」を中心に、その成果とトピックスを説明する。
また、サステナビリティを中核に据えた経営へのシフトを進めており、刻々と変化する外部環境に対応しサステナビリティ重点課題の見直しに着手した。私がチーフサステナビリティオフィサーに就任し、新設したサステナビリティ委員会で議論を重ねており、内容がまとまったタイミングであらためて報告したい。
前述した「機能向上の取り組み」では、日本の食を支えるライフラインとして安定供給体制の取り組みを推進。お客様に商品をお届けする最前線の物流センターではBCP対策マニュアルにコロナ対応を追加、感染予防対策も徹底的に強化した。
物流面では、配送回数の見直し、積載効率の向上に向けて、お客様と一体となった物流効率化の取り組みが成果を挙げている。コロナ禍でチラシの回数が減少し、特売など物量の波動が抑制されたことも物流費の改善に寄与した。一部センターでは、繰り返し利用可能な畜冷媒への切り替えを進めており、CO2排出量およびコスト削減につながっている。
営業活動では、対面商談に制約がある中で、リモートインフラを駆使しコロナ禍の変化をとらえた提案に力を入れている。RPAやAIを活用した業務効率化、働き方の見直し、生産性向上の取り組みも継続的に推進している。当社では引き続きデジタルを活用したさまざまなコスト削減を進めるとともに、業界の皆さまと連携し持続可能な食品流通の構築に取り組んでいく方針だ。
商品開発ではコロナ禍で高まる健康ニーズに対応した「からだシフト」シリーズ、ナチュラルオーガニックの缶入りワイン、「ララ・キット」などが好調に推移。今後は環境配慮型包材への切り替えなど、輸入商品も含め、持続可能性を意識した商品開発も進める。
経営基盤の強化では、中経期間中に全社員の2割以上をデジタル人財に育成する計画で、スピード感を上げてデジタル人財育成に取り組んでいる。今年9月には食品卸として初めて、経済産業省「DX認定事業者」の認定を取得した。
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