レンタルパレット 安定供給に黄信号

東日本大震災の発生時、東北沿岸で大量の物流パレットが津波に流された。その直後、必需品を中心に消費財の輸送量が爆発的に増加し、レンタルパレットの需要もかつてない高まりをみせた。

▼そのときでさえ、国内シェア約6割の日本パレットレンタル(JPR)は食品メーカーなどへの貸し出しに機敏に対応していた。現行標準のT11型が普及した1970年代以降、パレットの需給に大きな混乱が生じたことはない。

▼ところが今、その安定供給に黄信号が灯っている。不足するトラックドライバーの省力化ニーズを背景に、需要が急速に広がっているためだ。10連休を前に輸送量が跳ね上がった先月下旬、JPRは全ユーザーへの供給を30%カットする異例の出荷調整に踏み切った。

▼これは消費財業界にとっても、パレット化を物流生産性向上の切り札に掲げる政府にとっても頭の痛い問題だ。使用枚数の大幅増加につながるミルフィーユ出荷の見直しをはじめ、ユーザー側にも様々な配慮が求められることになろう。人手不足の影響が思わぬ分野に波及し始めている。