「酒飲みは甘いものが苦手」。日本では半ば常識のように語られるこの説を東京大学が科学的に裏付けたことがある。
▼詳細は割愛するが、東アジア人にはアルコール分解にかかわる遺伝子の内部に甘味の嗜好を左右する変異が存在するという。このため、酒に強い人は甘いものを好まないという逆相関が生じる。ただし例外も多く、アジア人以外を対象とした研究では、甘味への嗜好が強いほどアルコール消費量も多いとの結果もある。洋酒とチョコレートの組み合わせなどは、その好例だろう。
▼酒と甘味の組み合わせでは、和菓子も負けてはいない。中でもあんこは、小豆の穏やかな甘みが日本酒の米由来の甘みとよく合う。大福や羊羹には辛口の純米酒、いちご大福などの果実系和菓子には甘口日本酒がぴったりだ。あんこ屋を取材していると、小豆品種や炊き方、砂糖の加え方によって、味わいが大きく異なることに気付かされる。「甘い」という一言ではくくれない奥深さがある。
▼かつて典型的な酒飲みだった筆者も、年齢とともに甘いものを好むようになり、あんこで癒されることが増えた。味覚もまた歳月とともに変わるものなのだろう。酒を知り、あんこを知る。歳を重ねるのもそう悪くない。
