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飲料系酒類新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

 「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。異業種から転身した青木代表をはじめ、30代の若いメンバーが中心となって経営と酒造りを担う。2年目の今季は弟で稲作責任者の青木魁人(かいと)氏が手がけた自社栽培米で仕込む日本酒「Domaine Aoi(ドメーヌアオイ)」を上市する。青木代表に日本酒事業への想いや今後の展望を聞いた。

■キレイでモダンな味わい表現

 新卒から約10年にわたって金融業界に身を置き、充実した日々を送っていたが、コロナ禍で赴任先のシンガポールから帰国を余儀なくされたことが転機になったという。

 青木代表は「海外勤務を経験したことで、日本は四季に恵まれ、全国各地に根付いた風土や食材、モノづくりへのこだわりなど、素晴らしい要素がたくさんあることを再認識した。その日本で自分が本当にやりたいことに想いを巡らせた時、もともとお酒が好きだったし、各地に根付いて日本らしさを表現している日本酒を仕事にしたいと考えた」と振り返る。

 その後、金融関係で縁のあった山形の地酒メーカーに転職。紆余曲折を経て退職後、自身で酒蔵を経営する道を探っていたところ、複数あった候補の中から新潟県長岡市の旧高橋酒造を承継できることとなった。

 新体制の始動にあわせ、青木代表の想いに共鳴するメンバーが集結。杜氏は山形の酒蔵で経験豊富な阿部龍弥氏、ブラディングは大手広告代理店出身の土居将之氏、米作りは蔵元の地元三重で農家だった弟の魁人氏と旧知の精鋭がそろった。

初年度の多彩なラインアップ
初年度の多彩なラインアップ
 青木代表は「日本酒は非常に手間ひまかけて造られている。私たちはその価値をもっと高めたいし、もっと多くの方に届けたい」とした上で、「理想とする酒質は米の旨みを生かしつつ、キレイで品があってモダンな味わい。おいしさはもちろん、手に取りやすいボトルやラベルのデザインも大切。『普段ワインは飲むけど日本酒は飲まない』といった方々にこそ飲んで欲しい。かつての私やその友人たちがそうだった。日本酒の国内消費量は減っているがチャンスはある。海外も伸びしろは大きい」と展望する。

現在、酒造りは阿部杜氏をリーダーに、弟の魁人氏、そして原料米を生産する地元農家2名の合計4名で行う。

■酒造りと農業の両輪を追求

小仕込み用サーマルタンク導入
小仕込み用サーマルタンク導入

 初年度は従来の設備を使いながら短期間で商品化にこぎ着けた。新ブランド「Maison Aoi(メゾンアオイ)」として約60石(1石=約180L)をリリース。「出羽燦々」「美山錦」「愛山」など複数の酒米を使って7種類もの酒を醸し、多様な味わいを表現した。ちなみにボトルの裏ラベルには純米酒・純米大吟醸酒や精米歩合などのスペックに関わる情報は極力記載していない。「純粋にお酒の味わいを楽しんで欲しいから」(青木代表)。アルコール度数は13%と一般的な日本酒(約15%)に比べて低めに設定。

 限られた数量だったが、新潟県内の酒販店をはじめ、東京の有名地酒専門店にも採用されるなど上々のスタートを切った。

 今季はさらなる品質向上や労働環境改善のため、設備投資を積極的に実施。小仕込み用のサーマルタンク導入、麹室の電熱線をパネルヒーターに改修、小瓶(720ml)専用ラベラー導入など多くの箇所に手を入れた。

 2年目の造りでは原料米担当の魁人氏が新たに長岡の田んぼで育てた酒米「五百万石」を使用し、新シリーズ「Domaine Aoi(ドメーヌアオイ)」を仕込む。青木代表は「米の良さを感じられるようにあえて削り過ぎず、キレイなお酒に仕上げたい」との方針。

昨年魁人氏の手によるコシヒカリで醸した「Maison Aoi Untitled 06」
昨年魁人氏の手によるコシヒカリで醸した「Maison Aoi Untitled 06」

 既存の「Maison Aoi」シリーズは定番に育成し、新潟の酒米「越淡麗」を使った新商品をラインアップに加える予定。2シリーズで約150石の製造を計画する。

 今後に向け、青木代表は「農業にも注力していきたい」との想いを持つ。「もちろんおいしいお酒を造り続けていまの事業を軌道に乗せていくことが大前提」と前置きしつつ、「当社の米作りはまだ始まったばかりで規模も小さいが、将来は自分たちでより良い条件の生育環境を探して高品質なお米を追求したい。それを原料にして日本酒を醸せば価値をさらに高められる。それは酒蔵と農業の両方に関わるわれわれだから挑戦できることかもしれないし、結果的に地域の田んぼや景観を守ることにも繋がっていくのでは」と展望する。

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