日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。
同社の上期連結は売上高2699億円(3.4%増)、営業利益69億円(32.6%減)。国内油脂・油糧事業は、バイオ燃料需要の増加を背景とした油脂のコスト上昇と価格改定の遅れにより、前期比30億円減益(52%減)と苦戦。通期の利益予想を、連結営業利益210億円から150億円に、国内中心の油脂・油糧事業は同100億円から53億円にそれぞれ引き下げた。
11月14日の会見で久野社長は、国内油脂事業について「昨年来、油脂コストが上昇する中で、汎用油の価格改定の遅れ、ホームユースの販売数量減少、オリーブオイルの収益低下に直面した」と振り返った。
主力の家庭用食用油は、価格改定を進める中で汎用油の販促機会減少や夏場の猛暑、さらには割安感のあるPB品との競合激化もあり、販売数量が前年比10%減と落ち込んだ。
オリーブオイルは、過去2年間の歴史的な原料高騰が落ち着き、スペイン産オリーブオイルの輸入価格が軟化、販売数量の回復が進んできたが、収益確保が課題となっている。
久野社長は下期に向けて「まずは油脂コスト上昇に対する価格改定の早期完遂を目指す」としたうえで、家庭用油脂については「市場の変化に対応し、数量の着実な回復を図るとともに、中長期視点で持続的成長につながる戦略をブラッシュアップする」。
主力のクッキングオイルにおいては、油種ごとの特長や機能性などの価値を消費者に分かりやすく訴求していくとともに、家庭内での調理シーンや世帯構成を踏まえた商品構成や容量など、「お客様にとっての付加価値、ベネフィットをあらためて検討していく」とした。
オリーブオイルについては「BOSCO」「日清」「MIXタイプ(キャノーラ&オリーブ)」の3ブランド体制で、それぞれの用途や特性に応じた提案を強化。下期に向けて、オリーブオイルの需要喚起策を強化し、家庭用市場の活性化に貢献していく考えを示した。


