12.7 C
Tokyo
10.9 C
Osaka
2025 / 11 / 03 月曜日
English
加工食品乾麺・乾物【消費の深層】9月も売れるそうめん 残暑で棚替え時期に再考の余地ありか
〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

【消費の深層】9月も売れるそうめん 残暑で棚替え時期に再考の余地ありか

夏の定番である「そうめん」だが、残暑の影響で9月の売上が伸びていることや単身者の利用シーン拡大などがリサーチ・アンド・イノベーションの分析で明らかとなった。

調査には毎月約30万人が利用するスマートフォン向けアプリ「CODE(コード)」の購買データを使用。以下、同社の西村まどかさんが寄稿する。

暦の上では秋に入る9月だが、依然として残暑がニュースになるなど、かつてのように涼しさを感じる季節ではなくなりつつある。
秋の到来が遅れることで食卓も変化しているのだろうか。今回は夏の定番である「そうめん」を例に、残暑が購買行動にどのような影響を与えているのかについて調べた。

気温上昇と売上伸長が連動
気温上昇と売上伸長が連動

近年、全国的に9月の平均気温が上昇する中で、そうめんの売上高も増えていた(図1)。夏の定番メニューが秋口の食卓に登場するのも当たり前の時代になりつつあるようだ。

では、どのような人がよりそうめんを買うようになったのだろうか。これを調べてみたい。全国で見ると、地域ごとの気温の変化の影響を受けてしまうため、2022年から2024年にかけて平均気温の上昇率が112%、そうめんの売上伸長率が150%とどちらも大きく上昇している甲信越(長野県・新潟県・山梨県)を事例として分析した。 (図2)

まず、家族人数別に購入金額の伸長率を比較した(図3)。気温の上昇に合わせて特に伸長していたのは単身者だった。次に同居している子どもの人数別に比較した(図4)。
伸び率が大きかったのは同居している子どもがいない人で、187%と突出して高かった。

単身者の利用拡大
単身者の利用拡大

このように、一人で食事を済ませることの多い単身者にとって、暑い日の食事の選択肢としてそうめんの需要が拡大していると言えそうだ。

そうめんについて単身者の口コミを見てみると「一人暮らしを始めてからは茹で時間が短く調理しやすい」、「手軽に食べられて美味しい」、「お腹が空いた時に手軽に食べれるのが嬉しい」のように、そうめんの手軽さとおいしさが支持されている様子がうかがえる。

手軽にご飯を済ませがちな単身者にとって、ひとり分だけを簡単に調理でき、涼しさも感じられる点が、購入の後押しになったと考えられる。

夏の定番商品である「そうめん」は、9月の長引く残暑で単身者を中心に売上が伸びている。今回はそうめんに注目をしたが、夏の食卓が秋口にも登場する時代になりつつあるのではないだろうか。

食品業界としては、秋冬商品への棚替え時期のMDをどの様にするべきか再考の余地がありそうだ。

関連記事

インタビュー特集

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

明星食品 新提案「麺の明星 主食麺宣言!」 4つの軸の袋麺アレンジで食事性アップ

明星食品は、こだわりの麺技術で開発した商品ラインアップを全面に押し出し、新たに「麺の明星 主食麺宣言!」と銘打ったプロモーションを大々的に展開している。

イチビキ 中村拓也社長 豆みそ・たまりNo.1の矜持を 人口減睨み業務用・海外強化

安永元年(1772年)創業の醸造・食品メーカー、イチビキ。今年6月20日付で同社社長に就いた中村拓也氏は、98年入社。

「大豆ミート」対談 マルコメ・日本製鋼所 次世代型食品へ課題と提言

健康志向が高まり、プラントベースフード(PBF)にも関心が集まる中、2023年9月に大豆ミートメーカー5社が発起人となり、「日本大豆ミート協会」が設立された。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点