コンサルティングのINTLOOP(イントループ)は今年1月、旭食品と地域の食品企業を支援する合弁会社・食共創パートナーズ㈱を設立した。イントループの林博文社長に設立の狙いや展望を聞いた。
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――今回、バイアウトファンドを目指すということですが、具体的にどういうことですか。
林 以前、ある企業にコンサルティングの提案に行った時、商品は良いがIT環境が脆弱で、手作業も多く非効率だと感じることがあった。利益率も低いので思い切った投資もできない。
だが、少し手を加えることで効率化が図られる。こうした会社に対し旭食品の開発力と販路、われわれのDXのノウハウを使い会社をピカピカにした上で、販路を広げることができるのではないか。
また、他の企業とくっついて事業を拡大するという選択肢も考えられる。例えば同じカテゴリーのメーカーを3社まとめて買ってバイイングパワーをつけるとともに、強力な販路を見つけるというのも戦略の一つだ。
原料となる農産物の栽培も含め、垂直型にサプライチェーンをカバーする方法もある。さらに、地域と一緒になって工場を見学するツアーを考えるなどエコシステム全体を構築する仕方もある。このように様々な方法があり、会社のタイプに合わせて最終的なエグジットを考えたい。
――食品業界の現状について、どのように見ていますか。
林 最近は家電や自動車産業でさえ海外との競争で窮地に陥っている。だが、日々の食につながる食品産業がなくなることはない。海外での評価も高く、良いか悪いかは別として、海外との価格差がなくなり受け入れられやすい素地も整ってきた。
産業として強くすべきだし、国も一次産業から含め、きちんと育てるべきだと考える。
――当面の計画は。
林 今回は、将来ファンドサイズを大きくするための準備会社として立ち上げたという背景もある。実績を積んだ上で資金を募集し、より多くの会社をグループ化することを目標としている。
当初の資金は10億円ぐらいなので借り入れを合わせても2、3社程度からになるが、100億円になれば2、300億円規模で会社が買え、かなり大きなグループになるだろう。現段階ではまだはっきりとは言えないが、いくつかの食品カテゴリーに絞って検討する。その方が戦略も立てやすい。
旭食品と業界は異なるが、共同代表を務める竹内慎副社長と私は、もともとアクセンチュアという同じ会社の出身。知り合ったのは退職後だが、竹内氏はDXのこともよく知っているので大胆に進められるし、食品の知識も豊富だ。双方の会社のメンバーも仲が良く、建設的な議論ができている。食品業界で新たな機運を高めたい。
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